難民の本を紹介してください
2021-04-09 10:05 | by 金澤(主担) |
「難民に服を届ける活動を、あなたの学校でもやってみよう。」という新聞の記事を読んだ児童が、担任に「クラスで挑戦してみたい」と話しに来たそうです。担任は、[クラスで取り組むにあたって、難民についてクラスで考えたいので、本を紹介してほしい」と相談に来てくださいました。2年生だったので、絵本を紹介したいと思いました。そこで、学校ですでに購入していた『石の声が聞こえる』マーグリート・ルアーズ(作)新日本出版社 を紹介しました。
この本は、絵ではなく、石を使って表現している絵本です。
戦争が始まり、食べる物もなくなり、爆弾が落ちてきて安心して暮らすことができなくなった人々は、平和に暮らせる国を目指して逃げ出します。あとがきを読むとシリア難民を描いているということがわかります。無機質な石から、人々の苦悩、悲しみ、そして安全な場所にたどり着いた時の安堵の様子が伝わってきます。
『石たちの声がきこえる』のあとがきに下記の絵本が紹介されていたので、大急ぎで購入し、それらの本も紹介しました。
『カーリンヒェンのおうちはどこ?』
アンネゲルト・フックスフーバー(作)池田香代子(訳)一声社
家が焼かれ、カーリンヒェンは、一人ぼっちになってしまいました。気にかけてくれる人はいません。カーリンヒェンは、食べ物を分けてくれる人、一緒に住まわせてくれる人を探して歩きます。でも、食べる物が違うから、体つきが違うから、お前とは関係ないからと言って、だれもカーリンヒェンを助けてくれません。
この絵本には、難民という言葉は出てきませんが、行き場を失った難民の様子、助けてもらえない状況が物語の中から伝わってきます。
『ともだちのしるしだよ』
カレン・リン・ウィリアムズ(作)カードラ・モハメッド(作)
ダグ・チェイカ(絵)小林葵(訳)岩崎書店
アフガニスタンから逃れてきた人々が暮らす難民キャンプでのお話です。
リナは、黄色いサンダルの片方を拾いました。難民キャプでは、履物も貴重で、リナは、それまで裸足で暮らしていました。ある日、黄色いサンダルのもう片方を持ったフェローザと知り合いになります。その日から、ふたりは、一日交替で両足のサンダルを履くことにしました。
『私はどこで生きていけばいいの?』ー世界に生きる子どもたちー
ローズマリー・マカーニー(作)西田佳子(訳)西村書店
普通に暮らしていた人々が、戦争が起きたりして、住んでいる場所が危険になってしまうことがあります。その人たちは、安全な場所を求めて旅立たなければならなくなってしまうのです。車で、歩いて、海を渡って、平和に暮らせる場所を求めて…
難民の状況を私たちに教えてくれる写真絵本です。
『まいごのねこーほんとうにあった、難民のかぞくのおはなし』
ダグ・カンツ(作)エイミー・シュローズ(作)スー・コーネリン(絵)野沢佳織(訳)岩崎書店
戦争が続き、イラクのモスルでは安心して暮らすことができなくなっていました。夫を失ったスーラは、4人の娘と1人の息子を連れて国を出る決心をしました。「難民運び屋」に頼っての旅立ちです。大事な家族の一員である、ねこのクンクーシュも連れていくことにしました。しかし、過酷な旅の中で、クンクーシュとはぐれてしまいました。
巻末には、著者からの言葉とクンクーシュの旅の軌跡、クンクーシュをめぐる人々の写真も掲載されています。
なお、クンクーシュについては、別の絵本もしゅっぱんされていて、以前「読み聞かせ」の記事で紹介しています。そちらの記事もあわせてご覧ください。
(東京学芸大学附属世田谷小学校 司書 金澤磨樹子)