赤ちゃんが出てくる本
2022-07-29 10:32 | by 富澤(主担) |
2年生のある女の子は、担任の先生のお家に赤ちゃんが誕生したこともあり、しばらく前から、赤ちゃんと、赤ちゃんが生まれてくることについて、興味津々です。マリー・ホール・エッツ作の『赤ちゃんのはなし』(福音館書店、1982)や、『赤ちゃんにかかわる仕事―助産婦 ベビー用品開発者 ベビーシッター(知りたい!なりたい!職業ガイド)』(ほるぷ出版、2002)等のノンフィクションを、次々と借りていくだけではなく、来館するたび、司書に「ねぇ(まだ私が読んでない)、赤ちゃんの出てくる本ない?」と、絵本や物語についてもリクエスト。応えるのになかなか苦労します。司書が困っているのを察して、「赤ちゃんが出てくればいい」「お話の途中で生まれなくてもいい」「人間の赤ちゃんじゃなくてもいい」と譲歩しつつ、粘り強く聞いてくれていました。
お気に入りは、自分で見つけた、視覚障害のある女性がお母さんになって、工夫しながら赤ちゃんを育てていく様子を、となりに住む女の子の視点で描く『いのちはみえるよ』(及川 和男∥作/長野 ヒデ子∥絵、岩崎書店、2002)ですが、司書が紹介した本では『リーラちゃんとすいか』(マリリン・ハーシュ∥ぶん・え/マヤ・ナラヤン∥ぶん/おかべ うたこ∥やく、ほるぷ出版、1978)もお眼鏡にかなったようで、1学期中に2回借りました。
インドの女の子、リーラはスイカが大好き。ある日、あんまりたくさんあわてて食べて、種まで飲み込み、兄さんに「お腹の中にすいかがなるぞ」とおどされます。すっかり心配になっているところに、お腹の大きな女の人を見かけたので「きっとすいかの種のみこんだんだわ」と思い込み、ますます心配になりますが・・・・・・。
主題が「赤ちゃんの誕生」ではありませんが、結末はお察しの通り。子どものころに、何かしら主人公のような経験をした記憶は、誰にもあるのではないかと思える、主人公に共感できるお話しで、夏にぴったりの絵本でもあります。
2学期もまだ「赤ちゃんの本」を探しているようであれば、『世界のだっことおんぶの絵本』(エメリー・バーナード∥文/ドゥルガ・バーナード∥絵/仁志田 博司∥監訳/園田 正世∥監訳、メディカ出版、2006)を紹介しようと思っています。世界のいろいろなところで、赤ちゃんが大事にされている様子をたっぷり見られるので、喜んでくれることを期待しつつ。
グアテマラで、バリ島で、カナダで、世界中のどこででも、赤ちゃんは、家族にだっこされたり、おんぶされたりして、一緒に行動することで、自分のいる世界を知っていきます。11の国と地域の人々が、何を使って、どのように赤ちゃんを運び、一日を過ごすのかを、色鮮やかな絵で紹介した絵本です。それぞれの暮らしの違いや特徴が、赤ちゃんをだっこし、おんぶする姿から垣間見えて興味がそそられます。
また、お母さんのお腹のなかの赤ちゃんが、「でていくのいや!」というので、家族みんなが困ってしまう、『あかちゃんでておいで!』(フラン・マヌシュキン∥さく/ロナルド・ヒムラー∥え/まつなが ふみこ∥やく、偕成社、1977)も蔵書に加えました。2学期に、またあの子と会うのが楽しみです。