戦争とイギリスの女性労働
2023-01-13 16:27 | by 渡辺(主担) |
高校2年生のAさんが個人研究のレファレンスに訪れました。
生徒「第一次世界大戦がはじまって、男性がおこなっていた仕事に女性がつくようになり、労働環境が変わっていく戦争の側面を研究しているんですが、こうしたことが書いてある書籍を探しています。特にイギリスの女性に焦点をあてたいんですが・・・」
司書「では館内資料のイギリス史や世界の女性の労働について書かれた書架をまずはみてみましょう!」
と、さっそく2類の歴史や3類の社会問題の書架にある資料を確認しましたが、所蔵している資料には全く掲載されていない、または「第一次世界大戦の勃発により女性を取り巻く環境は一変した」というような一文に留まり、詳細な労働状況まではふれていない資料ばかりでした。そこで今回は学芸大学の図書館から資料を借りることにしました。
『戦う女、戦えない女‐第一次世界大戦期のジェンダーとセクシャリティ』
林田敏子 人文書院 2013年
『イギリス女性運動史‐フェミニズムと女性労働運動の結合』今井けい 日本経済評論社 1992年
『女は「何処で」働いてきたかーイギリス女性労働史入門』エリザベス・ロバーツ著
法律文化社 1990年
3冊のうち2冊はイギリス女性に焦点を充てており、戦争の勃発によって女性がいかに軍需品の製造、交通機関の運営、農作業、機械工業などの仕事に大量に必要とされたかが説明され、賃金の移り変わりのグラフも掲載されていました。
生徒「ありがとうございます!研究にとても役立ちます!」と大喜び。
高校生の研究では専門書を必要とする生徒もでてきます。こうした際に大学図書館の資料は大いに手助けとなっています。
(東京学芸大学附属国際中等教育:司書 渡邊 有理子)