日本の諸地域を調べるアレコレ

2023-07-14 11:15 | by 中村(主担) |

 中学2年生が7月から9月にかけて、日本の諸地域を調べる探究学習に取り組んでいます。学校図書館が支援するのは図書資料を揃えることと、学びに役立つウェブサイトを紹介すること、そして授業内のレファレンスです。今回はジグソー法で学習を進めた上で、発表時には個人が1枚の用紙にまとめたものをみんなで共有するそうです。
 
 ところで学校図書館の地理資料、更新が滞っているものはないでしょうか。なるべく新しい資料を揃えたいけれど、シリーズをまとめて購入するとお金がかかり、学習頻度も高くない場合はついつい更新が後回し・・・となってしまうこともありそうです。人口や産業データなど常に変わっていくもの・地形や伝統工芸など長く変化のないもの、といった具合に、古い資料と新しい資料をうまく使い分けて利用できるといいなと思います。
 
 今回は本校所蔵の資料の中から、生徒によく使われ「これは揃えておいてよかった」と感じた図書シリーズのほかに、「私はデジタルが苦手なので役立つサイトがあればぜひ」という社会科の先生のご要望に応えていくつかピックアップしたウェブサイトをご案内します。


《図書資料》


『帝国書院 地理シリーズ 新・日本のすがた』シリーズ(全9巻)
   帝国書院編集部編 帝国書院 2021年

 社会科の教科書や地図帳を出版している帝国書院のこのシリーズは、「都道府県別」ではなく、もっと大きな枠組みで「地方(地域)ごと」にまとめられているため、地域ごとの特色や繋がりが分かりやすく、広い視野で理解を深めることができます。国土や産業・暮らしなど、「〇〇について知りたい」という
内容が教科書に沿って一通り書かれており、内容も深く詳しいため生徒によく活用されています。

『ポプラディアプラス 日本の地理』シリーズ(全7巻)
   ポプラ社 2020年

 以前は『ポプラディア情報館 都道府県別日本地理』として出ていたシリーズが2020年に新しくなっています。地理の基本事項に加えて、観光や名産品・郷土にゆかりの人物など、いろいろなトピックが豊富な写真とともに紹介されているので、調べたい事柄を決める時にも参考になります。

『都道府県別 日本の地理データマップ(第4版)』シリーズ(全8巻)
   小峰書店 2022年

 今回用意できた地域別シリーズの中では最新の統計データを掲載しているので、図書資料からも比較的新しいデータを調べることができました。データブックなので「自然や歴史について知りたい」という時に使う本ではありませんが、各種データが細かく載っているので、自分の調べた情報に数字で説得力を持たせたい時に使うとよいと思います。


《ウェブサイト》

 日本の諸地域について調べるときに生徒がインターネットで検索すると、旅行会社や個人のウェブサイトが上位に出てくることが結構あるのですが、広告がいっぱい掲載されていたり、内容の信頼性に疑問を感じたりすることもあります。今回は学習で使う情報なので、信頼できる代表的なサイトをパスファインダーで紹介しました。

*地方公共団体情報システム機構「全国自治体マップ

https://www.j-lis.go.jp/spd/map-search/cms_1069.html

地方公共団体ホームページのリンク集。都道府県について知りたいときは、まず各自治体の公式ホームページを訪れて基本情報を手に入れることが大切です。

*農林水産省「わがマチ・わがムラ

  https://www.machimura.maff.go.jp/machi/

農林水産省をはじめ他省庁の統計データを利用して、都道府県や市町村ごとの農林水産業の状況等について分かりやすくまとめているサイトです。

*総務省統計局「キッズすたっと

 https://dashboard.e-stat.go.jp/kids/?schoolCode=2

小中学生向けの統計データ検索サイト。地域やキーワードなどから統計データを探すことができます。

帝国書院「統計でみる都道府県のすがた

https://www.teikokushoin.co.jp/statistics/prefecture/
  帝国書院のウェブサイト内にあるページで、都道府県の基本情報を知ることができます。都道府県ごとの写真ライブラリーを観たり、白地図をダウンロードしたりもでき、統計データの更新日も新しいので信頼できるデータを得られます。

*文化庁「文化遺産オンライン」 https://bunka.nii.ac.jp/

  日本の文化遺産についてのポータルサイト。全国の文化財や美術館・博物館の所蔵品情報を閲覧でき、時代や分野、地域、文化財体系(国宝/重要文化財重要無形文化財史跡選定保存技術など)いったカテゴリから検索することが可能です伝統芸能などの動画も見ることができます。(2023628日現在 参加館数1,047 公開作品件数277,051件)

*国立国会図書館「ジャパンサーチ https://jpsearch.go.jp/

  日本の様々な分野のデジタルアーカイブと連携し、多様なコンテンツをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームサイト。検索キーワードを絞り込んで、その地域にまつわる様々なデジタルコンテンツに出会えます。(2023628日現在 連携データベース数210 連携機関数129  メタデータ件数28,752,671)

*NHK「NHK for School」 
https://www.nhk.or.jp/school/

「トップページ>ばんぐみ一覧>教科・学年順(社会/中・高)>10min.ボックス」から、10分で視聴できる日本地理関連の番組をチェックできます。各番組をクリックすると、さらに短時間(数分)で見られる映像資料や関連教材が紹介されています。


 生徒たちは「地形→産業→伝統工芸」、「国土→自然→郷土料理」と、基本的なデータを押さえた後は少しずつ小さなテーマに向かって調べを進めています。郷土料理を例にとってみても、ただ単に料理名を羅列するだけで終えるのではなく、必ず地理的要因を絡めて記録を取るように伝えています。その地方に伝わる料理や祭り・工芸品といった文化は、その地域ならではの地形や自然が大きく関わっているはずです。表面的なことを書き写すだけの学習でなく、広く深く様々なものに目を向けて、繋がりのある知識を蓄積していってほしいと思います。

     (東京学芸大学附属竹早中学校 司書 中村誠子)

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