本の場所を聞かれるレファレンスを減らしたい・・・

2017-05-12 16:03 | by 村上 |

 司書は、聞かれることに答えることが仕事…と思っているので、本の場所を聞かれることもいやではない。しかし、自分で必要な本が探せるようになる・・・・という到達目標を掲げたからには本の分類のしくみや配架場所を理解してほしい。

 そこで、2年生の国語で、各自が読んだ本の中から、好きな1行を選び、なぜその1行に自分が惹かれたのかを、掘り下げて分析するために、図書館で本を探す・・・という授業を行う際に、司書からもちょっと話をさせてもらった。

 2年生には、あらためて図書館の分類についてと、「NDCマップで本を探そう」(『思考を深める探究学習』(桑田てるみ著 全国学校図書館協議会 2016)のプリントを配布し、自分の意見を補強するために、どんな本が使えるかを探してほしいと伝えた。また、選んだ本が使えるかを、見極める方法についても、今後の調べ学習で9類以外の本を使う時に役立つように、話をした。


 自分が選んだ言葉から、何についての本を選べばいいのか、特に正解はない本の探し方を求められた2年生は、本棚を歩き回り、いろいろな本を手に取っていた。何を探したらいいのかがわからない生徒は先生に相談し、具体的な本を探している生徒は、司書に聞いてくることが多かった。

 今までなら、選んだ1行について、なぜその1行を選んだかを書いて終わっていた課題を、今回は先生が、もう少しそのことを深めさせたいと、自分の意見を補強するための本をみつけるという難しい課題となった。たとえば、アンネ・フランクの本から一文をとった生徒は、いろいろ考えた末に、「津田梅子の本はないですか?」と聞いてきたので、『明治の女子留学生;最初に海を渡った五人の少女』(寺沢龍著 平凡社新書 2009)を手渡した。人とは違う状況で前向きに生きた人として思いついたらしい。レファレンスに答えるなかで、単純につながりのある本なら何かしらあるが、自分の思いとつながらないと納得できないのが、この課題の面白さのように感じた。


 帰りがけに使った本を集めて、4クラス分を分類順に並べてみたら、0類から9類まで様々な本が手にとられていたので、9類以外の棚を見て歩くきっかけにはなったように思う。
 授業途中で、先生や見学していた教育実習生と「分類」について話をした。使い慣れた図書館では、場所を覚えてしまい、そこの棚に行って、書名は見るが、貼られている分類記号までは目がいかないという。生徒に聞いても、似たような感想だった。小学校から大学まで使っているはずの図書館なのに、分類番号は意識されないものなのだとあらためて感じた。全国どこでも共通な分類の意味を知ると、他にもいろいろ利点はあるのだが・・・。

 さて、来週は、ワールドカフェ形式で、自分が選んだ一行について、紹介し合う授業を図書館で行う予定だ。習うより慣れろ・・・で、とにかくいろいろ使ってもらうのが一番。さらに何かをもっと知りたくなって、本格的なレファレンスがくると嬉しい。

附属世田谷中学校司書 村上恭子

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