アンデルセン 合唱曲 「一詩人最後の歌」

2018-07-02 11:45 | by 岡田(主担) |

6月25日に本校で公開授業が行われました。
今回の音楽授業では、アンデルセンの合唱曲「一詩人最後の歌」を取り上げました。
アンデルセンが詩人として書いた詩に、信長貴富が作曲をし、詩訳は山室静となっています。
本校の合唱祭では、毎年歌い継がれてきた人気のある合唱曲ですが、
詩の内容が日本人には理解しにくくなっています。
今回はアンデルセンへの理解が深まる本の紹介をとの依頼を受けました。
生徒の作製した合唱祭のパンフレットを以下に掲載しました。
生徒は右側のイラストのように曲を理解しイメージしていますが、
皆さんはこの詩を読んでどのように感じますか。


一詩人の最後の歌


作詩 ANDERSEN HANS CHRISTIAN
訳詩 山室静
作曲 信長貴富


私を高く運んでゆけ、お前、強い死よ
魂の大きな国へ。
私は神が私に命じた道を選んだ
額をまっすぐにあげて。
私が与えられたすべては、神よ、あなたのもの
どれだけ私の富があるのか、私は知りませんでした。
私が費やしたものはほんのわずかです

私は枝の小鳥のように歌っただけです。

さようなら、鮮やかに赤い一本一本のばらよ
さようなら、お前、いとしいもの!

ただ私を運んでゆけ、お前、強い死よ
たとえこの世にあるのが楽しいにせよ!
ありがとう神さま、あなたが与えて下さったもののために
ありがとう、これから来るもののために!
死よ、時間の海を越えて飛んでゆけ
さあ、永遠の夏の方へ。


「アンデルセン童話名作集」
著者 H.C.アンデルセン 著 / 矢崎 源九郎 訳 / V.ペーダセン 画 / 立原 えりか 編 2011 静山社

収録作品
<Ⅰ>
マッチ売りの少女、豆の上に寝たお姫さま、みにくいアヒルの子、ヒナギク、空飛ぶトランク、すずの兵隊さん、モミの木、ナイチンゲール、とびくらべ、人魚の姫

<Ⅱ>
親指姫、コウノトリ、皇帝の新しい着物(はだかの王さま)、イーダちゃんのお花、ブタ飼い、赤い靴、一つのさやからとびでた五つのエンドウ豆、火打ち箱、あるおかあさんのお話、野のハクチョウ  静山社より

挿絵が大変素晴らしい本です。1850年、デンマーク初版本の挿絵を全点51作品収録しています。当時の雰囲気が一番伝わる本として選書しました。



「アンデルセンの生涯」山室静 2005 新潮社
詩を訳した山室静の本です。アンデルセンの孤独、社会との関わりなど生徒のアンデルセンへのイメージが覆る一冊です。



「アンデルセン展」川崎市民ミュージアム 2017/4/22〜6/25
2017年にデンマークとの国交樹立150周年を迎えた際の記念展示です。
切り絵の名手として知られたアンデルセンの作品やチボリ公園の巨大ジオラマ等
当時のアンデルセンが生きていた社会の様子も学ぶことのできる展示となっていました。
本だけではなく多様な情報からの学びも、学校図書館では生徒に向け発信しています。

              (東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)

次の記事 前の記事