10分休みのレファレンス

2018-12-04 13:19 | by 渡辺(主担) |

 レファレンスは生徒からだけではなく、教員からのレファレンスも日常的にあります。
そのなかには「次の授業で急ぎ使いたいのです!」と、10分休みに慌しく資料を見つけなければならないこともしばしばです。

 最近10分休みにおこなった国語の先生からのレファレンスは「ミロのヴィーナスが全身みられる資料を大至急欲しい!」というものでした。ミロのヴィーナスといえば、ギリシア彫刻、ルーヴル美術館が浮かび、すぐに美術の7類の書架から大型写真集『ギリシアとローマの美術』講談社版を取り出しました。
 ところが写真は十分大きいものの、なぜか写っていたのは上半身のみ。他の西洋美術の資料では、逆に写真がとても小さく教室で見せるには使えそうにありません。
 そのとき思い出したのは、週刊「世界の美術館」シリーズ(講談社)でした。残り時間3分。急いでルーブル美術館の巻を探しだし、ページをめくると1ページ全体を割いてミロのヴィーナスの全身像が目に飛び込んできました。「これです、思い描いていたとおりの写真です!」と、無事に次の授業に間に合って資料提供ができました。

 さらに別の日の10分休みには、ユニークなレファレンスが届きました。それは・・・

 保健体育の先生からのもので「最近生徒の掃除が雑なので、日本の学校で掃除をすることの意義や公共のものを大切に扱うことの大事さを伝えるような掃除の本はないでしょうか?」というものでした。
 歌で有名な『トイレの神様』上村花菜(講談社)の絵本がうかびましたが、主人公の女の子が言う「気だてのよいお嫁さんになるために」というのは、先生の伝えたい趣旨とは違います。ほかに館内に所蔵している掃除に関する本といえば・・・
一冊は『ディズニーそうじの神様が教えてくれたこと』鎌田洋(ソフトバンククリエイティブ)。
生徒たちも遊びに行くディズニーランドが、なぜ隅々まで美しさが行き届いているのかがこの本を読めば伝わってきます。しかし営利とはまったく関係なく、掃除の心を伝えてくれる本はないものか、と探してみつけたのは『お坊さんが教えるこころが整う掃除の本』松本圭介(ディスカヴァー・トウェンティワン)。先生としては、心を伴った掃除をすることの大切さを生徒たちに伝えたいという思いを汲み、こちらの本を紹介しました。
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡邊有理子)

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