新入生を迎える展示

2021-05-12 11:56 | by 村上 |

 今月は、同じ国立附属学校つながりで、お茶の水女子大学附属中学校に記事を依頼しました。


 5月も中旬となり、新入生の緊張もほぐれた頃でしょうか。新入生を迎える4月の最初の入り口正面の展示は、中学生が主人公の本を集めた「主人公は中学生!!」がここ数年の定番になっています(写真左)。オリエンテーションが終わった新1年生が、この展示から本を選んでいきます。どんどん借りられるので空いたイーゼルには、図書委員と一緒に書架からせっせと本を追加していきます。その後もよく本が動く人気のコーナーです。1年生には、新しく中学生になったわくわくした気持ちのまま、主人公に共感しながら本を読んでほしいと願っています。

 春休み前から貸出中だったため展示できませんでしたが、『クラスメイツ 前期・後期』森絵都/偕成社/2014(KADOKAWAの文庫もあり)は、入学したばかりの1年生の気持ちにぴったり寄り添ってくれる本です。あるクラスの入学式からの1年間を描いているのですが、クラス全員が主人公になる連作短編集です。読み終わった中学2年生が、「この作者は、どうしてこんなに中学生の気持ちがわかるんだろう」と話していたことが印象に残っています。


 4月下旬には、入口正面の展示を「部活応援」という展示に変えました。仮入部が始まる1年生のために、部活動の技術面を助ける本と部活動が舞台になっている物語本を展示して、1年生が中学校生活に馴染む手助けをしています。(写真右)


 館内には大小9か所の展示コーナーがあります。昨年度の夏休み前には、「戦争の記憶を引き継ぐ」という展示を作り、夏休み用の読書案内リーフレットと共に「戦争の記憶を引き継ぐ本のリスト」を配布しました。重いテーマなので本はあまり動かないだろうと予想していたのですが、意外にもよく借りられました。また、年度末のアンケートの回答にあった「戦争に関する本の展示コーナーを作ってほしい」という生徒の声を受けて、今年度は図書館の一角に「文学で知る戦争」のコーナーを常設することにしました(写真左下)。このコーナーの本は、オリエンテーションの際、新1年生にも借りられました。

           戦争の記憶を引き継ぐ本のリスト.pdf


 教員からの依頼で授業の単元に関する展示コーナーを作ることもありますし(現在は詩の本)、図書委員の発案(現在は『文豪ストレイドッグス』に登場する文豪の本)で作ることもあります。様々な展示を通して生徒と本を繋げたいと思っています。  


 (お茶の水女子大学附属中学校:司書 奥山文子)


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