出会いと別れの季節を迎えて

2022-03-09 15:22 | by 長友(主担) |

 出会いと別れの季節、と呼ばれることの多い春、ひときわ「別れ」の色が強いのはこの三月ではないでしょうか。三年生は卒業の足音が日に日に近くなってきています。














 そこでその「出会いと別れ」を意識した展示を作成しました。ここでは『犬がいた季節(伊吹有喜,双葉社,2020)』、『教室に並んだ背表紙(相沢沙呼,集英社,2020)』など一話が短めのオムニバス形式の本や、『幸福な食卓(瀬尾まいこ,講談社,2004)』、『旅猫リポート(有川浩,文藝春秋,2012)』のような著名な本を集めて展示しています。

「別れ」には、悲しみなど心の痛みが伴うものもあります。しかしながら人生において避けることができないものでもあります。出会いと別れは表裏一体、出会いがあるから別れがあり、別れがあるから次の出会いがあるのでしょう。そして、その「別れ」の先の「出会い」に対してもちょっとした恐怖はあると思います。生徒たちにとっての例を挙げるとすれば、新しい環境になじめるか、友達はできるか、どんどん難しくなる勉強についていけるか……。そんな不安をすべて忘れてしまうことはできなくても、少しでも楽しんでもらえたらなと思います。紹介している本の登場人物の中には、非常につらくて苦しい「別れ」を経験している人たちもいます。それでも前を向いて、進もうとしている姿勢に何かを感じ取ってもらえたら幸いです。会いたいと思う人を気軽に誘えるような、そんな日々が徐々にでも戻ってきてほしいという願いも少し入っています。

私事ではありますが、私もこの三月に大学を卒業し、大学生活に別れを告げます。新たなステージに一歩を踏み出す恐怖より、いつになってもドキドキワクワクな心を大切にしていけたらと。そんな思いも込めて、展示を作成しました。

(東京学芸大学附属小金井中学校 司書 長友春陽)

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