ポスター展示
2022-11-02 09:23 | by 金澤(主担) |
今月は、横浜雙葉小学校の学校図書館司書の大森恵子さんにポスター展示について紹介してもらいました。
横浜雙葉小学校は横浜山手の丘にあるカトリックの女子校です。専任の司書教諭と司書が手作り感あふれる図書館で児童を迎えます。休み時間になると、お気に入りの場所で本を読む姿が印象的です。
本校では、一人ひとりに本を直接手渡したいとの思いから、児童と会話しながら本を選ぶことを大切にしています。ところが、コロナ禍への対応で放課後がなくなったことに加え、図書委員によるカウンターでの貸出は対面になってしまうため中止となりました。そのため、私達がカウンターから離れられないことも多くなり、書架の前で児童と一緒に本を選ぶ時間が減りました。面出しやテーマ展示だけでは魅力を伝えるのが難しい本もあり、もどかしい日々が過ぎていきました。
そのような時、ある新聞記事を目にしました。2022年1月のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火です。世界中で噴火の衝撃波が観測、遠く離れた日本でも津波警報が発令されたことで大きな話題になりました。ニュースを知り、ぱっと思い浮かんだのが、『生物の消えた島』(福音館書店)でした。1883年の大噴火により島の大半が吹き飛んだインドネシアのクラタカウ島の経年変化を描いた本です。100年後、火山灰に覆われていた島には森林が復活し多様な生物の息づく土地となりました。読み返してみると、日本にも津波が押し寄せたことやオーストラリアでも噴火の音が聞こえたことの記述があり、トンガでの噴火に関心を持った児童にぜひ薦めたいと思いました。そこで、色画用紙1枚にポスター形式で記事と本を併せて紹介、書架脇の掲示スペースに「かがくのとびら」という見出しを付けて貼り出すことにしました。児童との会話の代わりになればと始めたものなので堅苦しくならないよう心がけています。
その後も、新聞記事などの旬の話題と蔵書が結びついた時に随時ポスターを作製し、更新しています。
写真絵本や図鑑からノンフィクションへのステップアップに、また、未知の事柄に触れることで視野を広げる機会になればと思っています。小さな展示ではありますが、毎回借りてくれるお得意さんも出てきたところです。カウンターで、本を手にした児童と会話するのも楽しいひとときとなっています。できる限り長く続けていきたい取り組みです。