おもしろいお話なら何度でも聞きたい

2020-10-09 16:49 | by 富澤(主担) |

 図書の時間では、読み聞かせの他に、ストーリーテリング(お話)も行うようにしています。絵本の読み聞かせよりも、より聞き手との一体感を感じることができる、とても良い時間です。残念ながら、あまりレパートリーがないのですが、これまでは避けてきた「同じお話を聞かせる」ことも、場合によっては悪くないようだ、と、実際にやってみて感じました。

 

読み聞かせの定番として活用している、愛蔵版おはなしのろうそくシリーズに11巻目が新しく登場したので、2年生に、この本の紹介とからめて、収載されている短いイギリスの昔話「ねことねずみ」を読み聞かせのおまけとして語りました。1年生のときに一度お話ししているので、「もう一回聞いてみてね」と断ってはじめたのですが、「え?また?」という子は一人もおらず、とても楽しんでくれて、むしろ1年生のときよりも反応が良かったようでした。

 

『ティッキ・ピッキ・ブン・ブン

(愛蔵版おはなしのろうそく11)』

東京子ども図書館//

 

色々な国の昔話や、作者のいる物語、わらべうたなどが入っている、てのひらサイズのお話集です。

 

 

 今年度はじめてのストーリーテリングでは、光村図書、小学2年生の国語の教科書の「この本、読もう」という日本の昔話や民話が紹介されているページから、「さんまいのおふだ」のお話を、教科書に紹介されている絵本とは違うテキストではありますが、『ついでにペロリ(愛蔵版おはなしのろうそく3)』に収載されているバージョンで聞いてもらいました。

お話がはじまると、和尚さんが止めるのも聞かず、栗拾いに行って鬼ばばにつかまってしまった小僧さんがどうなるのか、息をつめてきいてくれた様子でした。

『ついでにペロリ
愛蔵版おはなしのろうそく3)』

東京子ども図書館//編

 

 




 
 しかし、お話の後に、「それ全部覚えたの?すごい!」という発言をする子が何人もいて、「そこに感心するよりもお話に入り込んでほしかった」と力不足を痛感させられました。1年生のときにストーリーテリングを聞いたことが、すっかり頭から消えていたようでした。

 

聞いていたときの様子から、お話の世界に入っていなかったとは思えませんが、印象に残ったのが、「本なしでお話できてすごい」というところだったとしたら、とても残念です。もしこのお話をもう一度、ストーリーテリングの形で聞く機会があれば、もっとお話そのものに入り込むことができるのではないでしょうか。

 

また、もちろん、もっと頻繁にストーリーテリングができれば、図書の時間に「読み聞かせ」ではなく「お話」を聞くことも当たり前にはなるはずですが、それでも、はじめて聞くお話、特に、筋そのものよりも、特徴的なリズムであったり、言葉あそびだったり、といった要素は、すぐに面白さが捉えられないことも十分考えられると、改めて気づかされました

 

 子どもたちからは、「また、あの◯○のお話して」というような発言も、決して少なくありませんし、特に低学年の子どもたちは、繰り返しをことのほか喜びます。レパートリーの少なさは、今後対策していかなければいけないところではありますが、それが十分ではなかったとしても、ストーリーテリングはする価値があるので、臆せず継続しよう、と思っています。

 

(東京学芸大学附属大泉小学校司書 富澤佳恵子)


次の記事 前の記事