BLMで読み聞かせ
2021-02-09 13:41 | by 宮崎(主担) |
アメリカでバイデン新大統領が就任演説をした週、6年生に『リンカーン大統領のせいじつなことば』(ドリーン・ラパポート作 もりうちすみこ訳 国土社)を読み聞かせしました。少し長いので今まで読み聞かせたことはなかったのですが、バイデン大統領が演説で強調した「unite=結束」というメッセージや、BLM(Black lives matter)運動で揺れているアメリカの現状と、奴隷制度をめぐって南北が分断していたリンカーンの時代が深くシンクロする気がしたので今こそ伝えたいと思ったのです。長いのですが、迫力のある絵と、明確なメッセージを伝える日本語訳がよくて、よく聞いてくれました。
実はこの学年にはこれまでも黒人差別に関する本の読み聞かせをしてきました。昨年はアメリカのBLM運動が日本でも話題になったので、これまでにない好機と考えたのです。
まず伝記本を特集展示していた10月ごろ、同じ作者の『キング牧師の力づよいことば』(ドリーン・ラパポート 国土社)を読みました。こちらは長さも手ごろで、よりドラマチックで読み聞かせに向いており、毎年5年生の伝記の本の紹介に合わせて読んでいます。本当に力強いことばでとてもよく聞いてくれます。同時にこの中にも出てくる、公民権運動の高まりのきっかけを作った女性ローザ・パークスを描いた『ローザ』(ニッキ・ジョバンニ作 ブライアン・コリア―絵 さくまゆみこ訳 光村教育出版)やガンジー、キング牧師の伝記なども紹介します。
また大統領選が佳境に入り、アメリカの州の名前がニュースでよく聞かれたころには、奴隷の少女がひそかに文字を学習し、自由に目覚めていく物語『クロティの秘密の日記』(パトリシア・マキサック作 宮木陽子訳 くもん出版)を部分的に読み聞かせし、『秘密の道をぬけて』(ロニー・ショッター作 千葉茂樹訳 あすなろ書房)『自由への道 奴隷解放に命をかけた黒人女性ハリエット・タブマンの生涯』(池田まき子 学研プラス)などで、南部の黒人奴隷を北部へ逃がすために尽力した〈地下鉄道〉の人々を紹介しました。いずれもすぐ貸出しに結びつくというわけにはいきませんでしたが、一部分でも読み聞かせをすることで、そのまま本のもつ言葉を伝えることができたのではないかと思っています。
また最近読んだものでは『キャラメル色のわたし』(シャロン・M・ドレイパー 鈴木出版)なども現代のBLM運動とつながっている物語でよかったので、うまく紹介する方法を考えたいと思っています。さらに〈地下鉄道〉やBLMに関心のある大人の方には『ある奴隷少女に起こった出来事』(ハリエット・アン・ジェイコブズ 新潮文庫)や『地下鉄道』『ニッケル・ボーイズ』(コルソン・ホワイトヘッド 早川書房)などもおすすめです。
(東京学芸大学附属竹早小学校司書 宮崎伊豆美)