前を向いて無言で食べる昼食を楽しく!

2021-01-10 23:36 | by 村上 |

 コロナ禍のなか、感染防止策を講じながらの3学期が始まりました。昨年の6月以降、昼休みは例年よりも短縮され、生徒は前を向いたまま自分の席でお弁当を食べます。もちろんおしゃべりは禁止です。
 図書委員会では、後期の活動のひとつに、このお弁当タイムに読み聞かせを行うことを提案し、週に1〜2度ながら、実施できることになりました。第1回は、12月17日の昼休みに、そして、2回目を今月13日(水)に行います。対面の読み聞かせではないけれども、これも広い意味では「よみきかせ」に違いないと、ここで紹介させてもらうことにしました。
 1回目のよみきかせで選んだ本は、こちらです。
 ロアルド・ダール作 『こちらゆかいな窓ふき会社;ロアルド・ダールコレクション15』 評論社 2005

 何を読むか悩むのは、中学生も同じ。短編集をいくつか渡してみましたが、読み手のKさんはいまひとつピンとこない様子。「まずは自分が読んで楽しい本にしたら」とアドバイスにもならないような当たり前のことを伝えると、頭に浮かんだのがロアルド・ダールだったようです。そこでこのダールのコレクションを渡したところ、最終的に選んだのが、この作品。でも、15分程度の時間しかないので、全部を読むのは到底無理。そこで初めの部分をかいつまんで説明し、自分がいちばん面白いと思った部分を読みます…とのことでした。当日までにしっかり練習して、本番に臨んだKさん。とても上手によみきかせをしてくれました。

 図書委員長が、その後、全校生徒(といっても、この時期は1年生と2年生のみ)に放送によるよみきかせの感想をもとめ、全体の意見を集約。その結果、「とても上手な読み聞かせだった」「楽しかった」と肯定的な意見が多かったのですが、最後まで読み切れる長さのものがいい、少し内容が幼かったのではないかという意見も。

 そこで、何かお薦めはありますか?と司書の私にレファレンスがきました。中学生向け、かつ時間内に読み切れそうな短編ということで、『決定版星新一ショートショート ほしのはじまり』(新井素子編 角川書店 2007)を手にしました。何かいいものはないかしら…と目次を見ながらパラパラめくっていて、目についたのが「友だち」というショートショートです。試しに読んでみると10分ちょっと。そこで、相談してきた図書委員さんに読んでもらったところ、「ぜひ読んでみたい!」と返事が返ってきました、

 図書委員会で相談して、今度は登場人物とナレーターの3人が読み手を分担することにしました。5歳の娘が、本の中から出てきた妖精とおしゃべりしている様子に、心配したお父さんが精神科医を訪ねるというお話です。図書委員主催のおはなし会には、絶妙の結末を、生徒の皆さんは、楽しんでくれるでしょうか?ドキドキしながら、放送を待っているところです。

(附属世田谷中学校司書 村上恭子)

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