お話でもお月見

2021-10-08 18:17 | by 富澤(主担) |

 十五夜と、十三夜のお月見にあわせて、1年生から3年生の図書の時間で、いくつか月に関連したお話を朗読したり、本を紹介したりしました。

 



 まず、2年生と3年生に読んだのは、韓国・朝鮮の昔話、「金のつなのつるべ」。

『ネギをうえた人―朝鮮民話選(岩波少年文庫)』、金素雲//編、岩波書店、2001

スニタルスニ、ピョルスニという名の三姉妹がお留守番をしていると、悪いトラが母親のふりをしてやってくる。三人は松の木に逃げたが、月スニがトラに、木に登る方法を教えてしまったため、あわやつかまりそうに。天の神様に助けられ、名前の通り日、月、星の役目をもらって空を照らすようになった。

 

 

 
 日、月、星の由来を語るお話です。どこか、グリム童話の「おおかみと七ひきの子ヤギ」に似たところがあり、子どもたちは、トラと女の子たちの緊迫したやり取りに、ハラハラしながら聞いていました。あわせて、韓国にも「秋夕(チュソク)」というお月見の行事があることを、『ソリちゃんのチュソク』(イ・オクベ//絵と文、セーラー出版、2000)とともに紹介したところ、こちらも貸出につながりました。






他にも、

 月がなぜ満ち欠けするのかを、親切で気前の良いおばあさんと、けちんぼなおばあさんの家に交互に招かれているから、と説明する、

「お月さまのはなし」ニクレビチョバ作(『おはなしのろうそく25』、東京子ども図書館//編、2004)も発想が面白く、1年生も2年生も喜んで聞いてくれました。








 3
年生には、月が丸くなったわけと、月の模様の由来を説く中国少数民族ヤオ族の民話「月を射る」(『おはなしのろうそく27』、東京子ども図書館、2008)も読みました。
月の模様の由来については、ソロモン諸島の昔話「月をつろうとしたロー」(『マウイの五つの大てがら(世界むかし話16 太平洋諸島)』光吉夏弥///チャールズ・キーピング他//絵、ほるぷ出版、1979)では、泥を投げつけられた跡、絵本『月のしかえし』(ジョーン・エイキン///アラン・リー///猪熊葉子//訳、徳間書店、1995)では、なんと靴を投げつけられた跡とされていることも、本とともに紹介しました。




 前者は、月を自分たちだけのものにしようとしてうまくいかなかった人々が怒りにまかせて、後者は、国一番のバイオリン弾きになりたい少年によって、願掛けのためになされた行為ですが、古来より人間の欲望のために、月は色々な目にあわされてきたようです。







 日本では、うさぎが餅をついているとされている月の模様ですが、世界には、本を読むおばあさんや、カニ、影になっているところではなく、白いところに女性の顔や、カエルの上半身を見る文化もあることが、『月のかがく』(えびなみつる絵と文/中西昭雄写真、旬報社、2011)『調べる学習百科 月を知る!』(三品 隆司//構成・文、岩﨑書店、2017)等のノンフィクションに紹介されていて、興味深いです。

 








 子どもたちに 月の本を紹介していたら、気分が盛り上がったので、今年の十五夜はお団子も作ってお月見をしました。少し雲が出ていたものの、綺麗な満月が見られました。十五夜と十三夜、どちらかしかお月見しないことを「片月見」と言い、災いがくるともされているようですし(ポプラディア初版「つきみ 月見」より)、十五夜には久しぶりにゆっくり月を眺めましたので、今月の十三夜も、お天気が良ければ、お月見をするつもりです。

(東京学芸大学附属大泉小学校 司書 富澤佳恵子)




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