「読み聞かせ」に今も魅了されています!
2022-02-10 08:49 | by 村上 |
今月は、元山口県立高等学校教諭で、現在は幅広い年齢層に向けて、「読み聞かせ」を行っている長尾幸子さんに執筆をお願いしました。時間と気持ちの余裕ができた今だからできること、そしてそれをとても楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきます。学校図書館と連携して、このような企画が行われていることも素晴らしいですね。現場に役立つアドバイスも満載です!(編集部)
今、読み聞かせの幅広さ、奥深さに魅了されています。
私は、現役時代は高校の司書教諭として、学校図書館活動や読書会活動に取り組んできました。退職後の現在、読み聞かせ活動を、子どもたちや読み聞かせボランティアの仲間、学校司書さんや先生たちと楽しんでいます。
読み聞かせは、本と人をつなぐ役割を持ち、読書の楽しさや読書による感動体験をするための優れた方法のひとつです。読書会やブックトーク、ビブリオバトル等の読書活動と同様です。そして、時間も選書も汎用性があります。5分から授業時間、さらに2時間以上のイベント等設定できます。例えば授業の導入やまとめにも使えます。数分で読むことができるも絵本もたくさんありますので、授業に緩急をつけるときにも使えます。絵本は、文理問わず、ほとんどの教科で使える幅広いジャンルの本があります。私は、英語絵本も小学校私1年生から使っていますが大変楽しく取り組めます。学校司書や司書教諭から読み聞かせを組み込んだ授業の提案もできるのではないかと思います。
読み聞かせはブックトークや読書会等と組み合わせることにより、さらに、その力を発揮します。現在は、読み聞かせに使った本を学校司書さんが展示してくださり、関連した本も展示してくださっていますが、読み聞かせは学校図書館活用につながります。
私は、現在、保育園から、小学校、中学校まで、さまざまな場で読み聞かせ活動を行っています。時間帯は、朝や放課後の15分から授業の45分や50分とさまざまです。当然ですが、その時間帯に合わせて選書しプログラムを作成します。先生や司書さんには、事前にプログラムをお配りします。そのことにより、担任の先生や学校司書さんと連携ができます。
私は、プログラムを作成するうえで次のことに気を付けています。
①季節や月、日時等(学校行事等も)
②対象学年
③緩急(変化)をつける(ジャンルが偏らないように→メイン絵本を決めたのち、導入 絵本、科学絵本、息抜き絵本など→保育園や低学年には手遊びや語りもいれて)
③緩急(変化)をつける(ジャンルが偏らないように→メイン絵本を決めたのち、導入 絵本、科学絵本、息抜き絵本など→保育園や低学年には手遊びや語りもいれて)
④テーマ(流れに一貫性を持たせる)
今年度の実践例を紹介します。 今年度の読み聞かせのなかで、どの学年、世代で実施しても「確かな反応」「手ごたえ」を感じた絵本をメイン本としたプログラムを紹介します。 2021読書感想文低学年の部課題図書『みずをくむプリンセス』です。
◎1年生の7月のプログラムを紹介します。ブックトークの中で『みずをくむプリンセス』は最後に全文読み聞かせをしました。
1年生おはなしの会 【2021年7月7日(水)】1時間目~3時間目
- おはなし 世界でいちばんきれいな声 おはなしのろうそく11 東京子ども図書館
- 科学絵本『みずたまレンズ』今森光彦 さく 福音館書店
- てあそび たなばた
- 絵本『おこだでませんように』くすのきしげのり 作 石井聖岳 絵 小学館
- ブックトーク 2021読書感想文課題図書・低学年の部
①『あなふさぎのジグモンタ』とみながまい 作 たかおゆうこ 絵 ひさかたチャイルド
②『どこからきたの?おべんとう』鈴木まもる 作 絵 金の星社
③ 『みずをくむプリンセス』スーザン・ヴァーデ 文 ピーター・H・レイノルズ 絵 さくまゆみこ やく さ・え・ら書房
夏休み前の7月7日というタイムリーな時期の実施でしたので、子どもたちも、先生も大変集中し、楽しんでもらえました。
◎6年生のプログラムを紹介します。こちらは朝の読み聞かせで15分でしたので、2回のプログラム作成しました。10月で、是非読み聞かせをしたかった、かこさとしさんの『秋』 をいれまして、かこさとし続きで、科学絵本『みずとはなんじゃ』 を入れ『みずをくむプリンセス』 につなぎました。
6年生朝のおはなし会
【2021年10月21日(木)】8時20分~35分】
- 絵本『秋』 かこ さとし 講談社
- 『おちばのしたをのぞいてみたら』 皆越 ようせい 文・写真 ポプラ社
- 絵本『みずとはなんじゃ』かこ さとし 作 鈴木 まもる 絵 小峰書店
- 『みずをくむプリンセス』スーザン・ヴァーデ 文 ピーター・H・レイノルズ 絵 さくまゆみこ やく さ・え・ら書房
◎中学生への読み聞かせ&読書会の実践例を紹介します。
山口県山陽小野田市立高千帆中学校読書会 いっしょに読もう『100万回生きたねこ』
題材『100万回生きたねこ』 佐野洋子絵/作 講談社
日時 2021年3月5日(金)3、4時限 17日(水)2、3、4時限 (50分)
形式 読み聞かせ形式・読後話し合い形式 1班4名に分かれて話し合う
時程 1.読書会についての説明・読み聞かせ(15分)
2.読書会(全体進行 長尾 )(15分)
①あなたは、自分がねこだったら、のらねこ(p17)と、飼いねこどっちが幸せだと思う?
②どうして最後は「ねこは もう けっして 生きかえらなかった」と思う?
③この絵本のなかで一番好きなページは?
④『100万回生きたねこ』を紹介する一言コメントを好きな色のいろ紙に書こう
②どうして最後は「ねこは もう けっして 生きかえらなかった」と思う?
③この絵本のなかで一番好きなページは?
④『100万回生きたねこ』を紹介する一言コメントを好きな色のいろ紙に書こう
3 読書会ボード作り(20分) 各班1枚の色画用紙にまとめる
(参考資料 読書ボード作品 右写真)
※入れる要素
(参考資料 読書ボード作品 右写真)
※入れる要素
①キャッチコピー(この本を紹介するための)
②班のメンバーの一言コメント
③作品名、著者名、作成日
以上を色画用紙に構成する
②班のメンバーの一言コメント
③作品名、著者名、作成日
以上を色画用紙に構成する
はじめにも書かせていただいたように、私、現在、読み聞かせの魅力のとりこになっています。数十年前に『読み聞かせ この素晴らしい世界』(ジム・トレリース著 亀井よしこ訳 高文研) を読んで以来、読み聞かせの素晴らしさは知っており、活動は夢でした。現役時代にもっと取り入れておけばよかったという思いもありますが、フリーになり、どの校種にもかかわることができるようになったからできることなのかもしれません。これからも学校図書館活動と連携しつつ、読み聞かせ活動を続けたいと思っています。
今回実践例として紹介させていただいたものは、プログラムのラストは静かに深く終わるものでした。しかし、今年度、私的に、他のプログラムで盛り上がり必須の鉄板のラスト本『てじな』(土屋富士夫 作絵 福音館)を紹介して文を閉じたいと思います。読み終えたのち、ハンカチマジック(結び目が一瞬でほどける)を披露して終えます。保育園から大人(先生たち)まで拍手喝采で楽しく終えることができます。以上、読み聞かせに夢中になっている、もと高校の司書教諭の拙文失礼します。
(元山口県立高等学校教諭 長尾幸子)