展覧会とコラボレーション
2016-12-15 15:31 | by 村上 |
東村山市立化成小学校司書 宮崎伊豆美
12月1~3日、2年に1度の展覧会が行われました。春から作品作りに準備を重ね、当日は体育館が別世界になる大きな行事です。大きな行事があるときは、子どもの気持ちも高まっているとき。学校図書館もその波に乗っかろうと勝手にコラボレーションをすることにしています。展覧会の時にはいつも名画の本を並べた展示コーナーを作り、読み聞かせでも名画の本を紹介します。すると、ふだんは触られることもない名画の本が手に取られるのでとてもいい機会だと思っていました。
さて今年の展覧会もそろそろだな、と本の準備をしていたときに、図工の先生が発行している図工だよりが配られました。そこには本校の展覧会の恒例目玉展示とも言える5・6年生の共同作品のことが書かれていました。体育館の舞台いっぱいに飾られる大きな貼り絵です。毎回名画を模した貼り絵が制作され、終了後そのまま体育館に飾られるので知らない子どもはいないという素晴らしい展示なのです。図工だよりには、今年の貼り絵が、有名な葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」であることと、その貼り絵に込めた先生の思いが書かれていました。そこでこちらも北斎について子どもたちに紹介したいと考えたのです。
東村山市の学校司書は2校兼務で1校には週2日しかいられないので、読み聞かせができたのは、図書の時間で会える1~3年生と、特別支援学級のみでしたが、どの子どもたちもとても関心を持って聞いてくれました。
実際の流れとしては、導入に絵をかく喜びを描いた絵本『っぽい』(ピーター・レイノルズ 主婦の友社)を読み、絵をかくっていいよね、いろんな有名な絵は知ってるかなと『うつくしい絵』を出し、「モナリザ」やゴッホのひまわりなども見せてから、北斎のページを読み聞かせ、ほかの名画の本を紹介するというものです。北斎の人柄を紹介した部分では、えー! と驚きの声があがり、いろいろな名画にはこれ知ってる! などいろいろな反応が返ってきました。特別支援クラスには5・6年生の子もいるので、自分が参加した貼り絵の絵ということですごく喜んで聞いてくれたのが印象的でした。
今まで今回の北斎のような目玉がないときには、『ピカソの絵本』(結城昌子 小学館)を読むことが多かったのですが、ピカソが小学生の心をあっという間につかむのには毎回驚かされます。今回もちらっと見せただけのピカソの大きな画集を1年生が2冊とも借りていきました。
今年も展覧会のおかげで、ふだん子どもたちが手に取らない本を紹介することができて本当によかったなと思っています。蛇足ですが、展覧会の6年生の作品で、学校の中のお気に入りの場所を描いたスケッチがあったのですが、何人かの子が図書室を落ち着く場所として描いてくれていたのが、司書冥利に尽きる出来事でした。