世界に目をむける絵本

2018-10-05 18:54 | by 岡島(主担) |

 小学校3年生以上の子どもたちに国際理解の手助けをするため読み聞かせをしました。平和な世の中で暮らしている子どもたちに知ることの大切さ、自分なら,なにができるか考えてほしいと思い選んだ一冊です。
『難民になったねこ クンクーシュ』マイン・ヴェンチューラ 文 ベディ・グオ 絵 中井 はるの 訳
 本当にあった難民とねこの物語です。
 イラクの戦乱の中、母親は5人の子どもたちと飼い猫を連れ、ふるさとの国から命からがらヨーロッパへ逃げることになりました。その途中で飼い猫と離れ離れになってしまいました。ひとりぼっちになったねこは、心やさしく行動力ある人たちに助けられ、5000キロもの旅をして、奇跡的に飼い主家族と再会することができました。
 この本をきっかけに調べられるように巻末には、6850万の難民の基本データや18歳未満の子ども数・保護者のいない子どもの数・ ウエブサイトや難民のことを調べる参考文献、世界の難民問題や国際的な支援活動を調べる情報が掲載されています。














毎日新聞2018年8月27日 10時37分(最終更新 8月27日 11時33分)
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https://mainichi.jp/articles/20180827/k00/00e/040/156000c

子どもたちの感想は
・クンクーシュが逃げてしまって、家族はとても悲しんでいました。私もねこを飼っているので家族のようなねこがいなくなってしまったら、涙がかれるほど泣いてしまいます。ボランティアの仲間の協力で無事飼い主に会え、良かったです。家族たちもとても幸せそうでした。(小3女子)
・絵の明るさの強弱で人や猫の感情がとても伝わってきました。最後までどうなるかわからなかったので、最後はホットした気分になりました。私は難民のことを調べたことがあるので、このお話は奇蹟のように感じました。でもこの奇蹟はたくさんの人がかかわっていたと思います。私は難民の人を支えられる人になれるよう頑張りたいです。(小4女子)
・クンクーシュを救う人たちが沢山いて驚きました。出会いから人の縁や優しさが描かれていると思いました。(小5女子)
・ボランティアの人のあきらめない心は素晴らしく、奇蹟が起こったと思います。(小5男子)
・「難民」というのは「人」のことだけだと思っていたけれど、生き物も難民になるということを知りました。その後のクンクーシュや写真もありわかりやすく、とても楽しく読めました。(小3)

 翻訳者の中井はるのさんは、テレビ番組のアンビリバボーでクンクーシュのことを放送するので翻訳を頼まれました。その後偶然絵本が出版されることを知り、翻訳したそうです。一匹の猫がつないだ出会いの輪は今も広がり、絵本は少しの勇気や思いやりが持つ意味を教えてくれ、この本を通じてみんなの心がつながるよう思いを込めています。
 また、国連難民高等弁務官のダーク・ヘベカーさんが日本の子どもたちへメッセージを寄せています。

 よみきかせをした後で、『ようこそ難民!』100万人の難民がやってきたドイツで起こったこと  (
今泉 みねこ 著) 合同出版を紹介しました。


(東京学芸大学附属竹早小中学校司書 岡島玲子)

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