小1へのオリエンテーションでのよみきかせ

2019-05-14 08:05 | by 村上 |

 小学校1年生の1回目のオリエンテーションでは、図書館てなにするところ? から、図書館での約束、いろいろな本があるよと本の紹介など、おはなしすることがたくさんあるので、読み聞かせの絵本は短いものを選んでいます。ここ最近使用しているのが、『くまのオットーとえほんのおうち』(ケイティ・クレミンソン 岩崎書店 2011)、絵本のなかに住むくまのオットーがぼうけんをして図書館にたどり着き、絵本に住む仲間たちを見つける、というおはなしです。図書館で子どもたちに自分の絵本を読んでもらってしあわせになる、という終り方がいいうえ、5分かからないくらいに短いけれどもちょっとドキドキするところもあり、とても都合がいいのです。子どもたちもとちゅう心配そうになりつつ、真剣によく聞いてくれ、最後にみんなで笑顔になれます。



  本を閉じたあとは、「この図書館にも、みんなに読んでもらいたいと思っているたくさんの本の仲間がいるから、たくさん読んであげてね」としめますが、実はこの続きがもうひとつ大切な話なのです。「さて、実はこの図書館にも本から出てきたおともだちがいるんだよ~」とおもむろにエプロンのポケットに仕込んでおいたお人形を取り出します。そして「この絵本から出てきたんだよー」と絵本『ほげちゃん』(やぎたみこ 偕成社 2011)を見せます。この絵本には主人公のほげちゃんの作り方が出ているので、私が作ったお人形なのですが、このときのお口ポカーン、な1年生たちの様子がなんともおかしくて、やめられないなあと思ってしまいます。


  でも実はこれもオリエンテーションで伝えたいことのひとつなのです。図書館には、ほげちゃんのほかにもいくつかのお人形があるのですが、どうしても元気のいい男の子たちのボール代わりにされたり、パンツを脱がされたり、扱いが乱暴になりがちなのが気になっていたので、なんとか優しく扱ってもらいたいということを伝えようと思いました。それと『読書介助犬オリビア』(今西乃子 講談社 2009)で、本を読むのが苦手な子が、犬に読み聞かせをして読書に自信をつけるというのに感動して、お人形でもできないかなと思っていたので、遊び心としてそれも加えて伝えることにしました。それでほげちゃんを見せながら「このお人形たちにもやさしくしてね。この子たちはみんな本を読んでもらうのが好きだから、読んであげてもいいね」と紹介したのです。


  このあとの自由読書の時間、すなおな1年生が何人かお人形たちをかかえて、絵本を読み聞かせているすがたはなんともいえずかわいらしく幸せな光景でした。なんだよー、うそだろとか言っている子もいますが、全体にやさしい雰囲気になるので、乱暴をすることはなくなり、図書の時間の雰囲気もよくなって効果大ではないかなと自画自賛している次第です。

(東村山市立小学校司書 宮崎伊豆美)



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