5年生への読み聞かせ
2019-07-12 09:19 | by 井谷(主担) |
羽村市立栄小学校 教諭 武藤ゆかり
本校では、もう20年近く、保護者OBから発足した地域の読み聞かせボランティアサークルの方が、週2回の朝の時間に、低学年に読み聞かせをしてくださっています。おかげで、子どもたちは本が大好き。しかしながら、中学年から高学年になるにつれて本が好きな子とそうでない子の二極化が生じてしまうのです。そんな瀬戸際の5年生に、絵本の読み聞かせをさせてもらいました。果たしてどんな反応を見せてくれるでしょうか。
1冊目は、ウォーミングアップ 。
『ねえ、どれがいい?』
ジョン・バーニンガム 作
まつかわまゆみ 訳
評論社
さすが、ジョン・バーニンガム!この究極の選択に、思わず最初から一つ一つ答えてしまう子どもたち。5年生の予想外の好反応に、読み手もつい力が入ります。
いよいよ本命の2冊目は、
『赤神と黒神』
松谷みよ子 作
丸木位里 絵
ポプラ社
かつて、6年生の国語の教科書に載せられていた私の大好きなお話です。秋田県に伝わる民話を、松谷みよ子さんが書かれたもので、龍飛に住む黒神と、男鹿に住む赤神が、十和田の女神を巡って争うという、いわば三角関係のお話。松谷みよ子さんのすてきな語り口で、壮大な東北を舞台にくり広げられる物語です。
先程とは違って改まった雰囲気です。赤神と黒神が龍や鹿を従えて闘うシーンでは、皆、息を詰めて、しんと聞き入っています。戦いに勝った黒神は、女神のいる十和田の湖へ…。ところが、女神はいません。負けた赤神がかわいいと、赤神のもとへ行ってしまったのです。
その場で感想が聞けなかったので、後で担任の先生に聞いてもらったところ、多かったのは「黒神がかわいそう。せっかく戦いに勝ったのに。」また、「女神がかわいそう。」というものも。また、「それなら、闘う意味なんかなかったのに。」という感想も。
久しぶりの高学年の読み聞かせでしたが、やはり、高学年の子どもたちにも、読み聞かせはしてあげたいなと、改めて思った朝の時間でした。