中学生への読み聞かせ

2020-02-07 13:48 | by 井谷(主担) |

中学1年国語の表現の単元で絵本の読み聞かせを学習するので、お手本に1冊読むことになりました。

 「本職の司書さんにお手本を見せてもらいます」

と紹介されましたが、実は中学校ではほとんどその機会がなく、久しぶりの読み聞かせです。

 最初の2クラスに読む日は、東京にも雪の予報が出ていたので、こんな本を選びました。

『ゆきむすめ』
  内田莉莎子再話  佐藤忠良画  福音館書店

子どものいないおじいさんとおばあさんが、雪で作ったゆきむすめを可愛がるが、やがて夏になって溶けてしまうというお話。佐藤忠良のくっきりした絵で遠目もききます。ただ、最後があっさり終わりすぎ、もう1ページほしいような唐突な印象を受けたので、最後の1文「ゆげはほそいくもになって、ほかのくもをおいかけながら、うえへうえへとのぼっていきました。」をことさらゆっくり、余韻が残るように読んでみました。

 



 4分ほどの短い本なので、おまけにもう1冊。

『うしはどこでもモー!』
           エレン・フラスキー・ワインスティーン作

           ケネス・アンダーソン絵  鈴木出版

附属司書の1人に教えてもらった楽しい1冊。

イギリスでは犬はバウワウ。スペインではグァウグァウ。
 フランスではワウ ワウ。 日本ではワンワンとなく。
 でも牛は、どこへ行っても「モー」となくねん。
 犬の次にかえる、あひる、にわとりと同じパターンで続き、しかも関西弁なので歯切れ良く、楽しく読むようにしました。

 


 次の2クラスには、ちょうど世界地理でアジアの調べ学習が始まるので、導入の意味も込め、韓国の昔話であるこの1冊を選びました。

『とらとほしがき』 パク・ジェヒョン再話・絵  光村教育図書

 泣いているあかんぼうに「おおかみがくるよ」「とらがくるよ」と言っても泣き止まない。「ほしがき」をもらってようやく泣き止むのを家の外で聞いたとらは、ほしがきを恐れて逃げ出すという日本の『ふるやのもり』に似たお話です。韓国の人ならだれでも知っている昔話だそうです。

生徒たちからは

「久しぶりに読み聞かせを聞いたが、とても楽しめた。」

「小学生のころは何も考えずにただお話を楽しんでいたが、今回、抑揚や間、本のめくり方などを注意して聞いていたら、技術に裏付けされていたのだと気づいた。」

などの感想を聞きました。
 この後、班ごとに1冊ずつ選び、担当箇所を決めて、ボイスレコーダーに録音するなどの練習を積んだ後、クラス内で発表となるそうです。 
                     (東京学芸大学附属小金井中学校 司書 井谷 由紀)


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