今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属小金井中学校図書館

2021-01-06 16:10 | by 杉本(主担) |

 あけましておめでとうございます。

 昨年はどの学校図書館もだれも経験したことのない状況を経て、努力と苦労を重ねられて新しい年を迎えられたことと思います。附属小金井中の図書館も、来館・退館時の手洗いの徹底、密を避ける動線の確保、返却本ボックスの設置などの対応策をとり、新しい年を迎えました。 

 昨年6月から学校が始まると、様々な授業で学校図書館の資料の活用が始まりました。図書館を活用した授業の中に2年生の課題研究というユニークな講座があり最初にご紹介したいと思います。

2年生課題研究

小金井中学校では、毎年、2年生で「課題研究」という複数の講座が開かれ、希望する講座をひとつ選び受講します。それぞれの講座の人数は1520名前後で、大学のゼミのような雰囲気で生徒は主体的な学習に取り組みます。この講座では一人一人が様々な情報を集め、その情報を整理して自分の考えをまとめ、学んでいくことが行われている様子で、この講座が始まると、資料を捜しに図書館のレファレンスを利用する生徒も多くなります。

 今年は英語の「行ってみたい国の旅パンフレットをつくろう」という講座が学校図書館で開かれました。

最初は一人一人行きたいところや憧れの国などからテーマを決め、資料収集します。その後、日本語での下書き、英文に直してのパンフレットづくりと時間をかけこつこつと作業が進んでいきます。昨年度購入していた『ポプラディア+世界の国々』が役にたったり、小金井中の映画パンフレットの特別コレクションが大変参考になったり、授業で図書館をつかっていただくことが、今後の図書館の選書のヒントとなり蔵書の充実につながっていきます。また授業の中で著作権と出典の記述の必要性について、お話させていただく機会もいただけました。12月の最後の授業でははやくも何人かの生徒の作品ができあがり始めました。年度末には作品の展示発表の予定があり、楽しみにしています。

■図書委員活動

 今年度は委員会の活動が10月から始まりました。スケジュールが立て込む忙しい中で、図書委員さんたちが活躍してくれました。廊下の秋の読書週間の本の紹介掲示、ハロウィーンのテーマ展示とPOPの作成、そしてシークレット本キャンペーンなど、図書館は季節の彩りやキャンペーンで明るくなりました。また感染対策で小金井中では返却本を3日別室で保管し、その後書架に戻しているのですが、図書委員さんの常時活動のおかげで、整った書架が維持されています。
  

■前田ゼミ 図書館情報学演習2

小金井中学校図書館では例年毎週金曜日に、学芸大学の前田ゼミの実習が行われ、学生の皆さんは生徒と交流を持ち、図書館の運営に参加してくださっています。しかし今年は感染予防対策のため、例年のような交流をスタートすることができませんでした。11月より大学の対面実習がおこなわれるようになり、3週間に一回の割合で、学校図書館の見学と午後のゼミ活動が小金井中図書館でおこなわれるようになりました。12月の年内最終回では、小金井中の生徒向けに準備してくださったおすすめ本のパンフレットを置いて、本の紹介展示コーナーを作成していってくださいました。

■生徒用蔵書検索コーナー

館内に蔵書検索コーナーを作りました。今まで、館内の蔵書検索は、カウンターの貸出返却用PC一台での対応でしたが、今年度カーリルさんの支援をうけ、他のデバイスから小金井中の蔵書検索ができるようになりました。検索用PCに「小金井中図書館蔵書検索」のページ、カーリル図書館横断検索HP、コトバンク、政府の統計HPなど、調べ学習の際に役にたつサイトをお気にいりに登録しています。今までは、カウンター前に並んで蔵書検索の順番を生徒が待つこともありましたが、急いでいる人や自分で調べたい人は検索PCをつかって、資料を探すこともできるようになりました。
 近いうちにGIGA構想の一人一台タブレットがスタートし、そちらも軌道にのれば、図書館で紙の資料とインターネット上の情報の両方を使い、調べ学習が行われるようになるのが自然なことになるでしょう。


コロナ禍の中で、以前のような人の集まった環境の中での活動が難しくなってしまいましたが、今後も様々な方に関わっていただき、お知恵や力を拝借し、時代の変化に対応した生徒の学びに資することのできる学校図書館に成長していきたいと思っています。
                 (学芸大学附属小金井中学校 司書 杉本ゆかり)


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