今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属大泉小学校 マルチメディア室

2021-02-12 19:07 | by 富澤(主担) |

昨年2月にこのコーナーを担当してから、ちょうど1年が経ちました。マルチメディア室(本校図書館)では、長年使って、ボロボロになっていた椅子のカバーを、PTAの手芸サークル「手作り倶楽部」の皆さまに新しく作り直してもらった直後、臨時休業になってしまいました。なかなかお披露目もできませんでしたので、まずは綺麗になった館内の様子をご覧ください。登校が再開すると、来館した子どもたちからも歓声があがり、とても喜ばれています。





←ボロボロだったカバー

       
    こんなに綺麗になりました→

 
 

 
 今年度は、新型コロナウイルス感染症対策をしながら、子どもたちが安心してマルチメディア室を使えるように様々な試みをした1年でした。その結果、子どもたちの居場所の一つとして、機能し続けることができているように思います。取り組みのいくつかを、ご紹介します。

 

■読み聞かせ■

6月の登校再開から、10月末までは、司書が教室に出向いて読み聞かせを行っていました。最初にマルチメディア室で担任の先生に本の貸出手続きをしてもらうグループと、最初に読み聞かせを聞くグループ、クラスを2つに分け、前半と後半で入れ替える、というやり方をとっていました。

状況が落ち着いた11月から、クラス全員でマルチメディア室を利用するようになりましたが、読み聞かせは、密にならないよう、読み聞かせのスペースに移動するのではなく、椅子に座ったまま行い、絵本の場合は、タブレット端末で撮影しておいた絵を、大型テレビに拡大して映して読んでいます。










 開館直後から、読み聞かせそのものを継続してこられたこと、また、これまで、存在は目に入っていたものの、全く使用したことのなかったタブレット端末や、テレビを活用できるようになり、司書のスキルアップに繋がったのは良かったと思います。加えて、「拡大して見せることができるのは、読み聞かせのレパートリーには入れてこなかった本を紹介するチャンス」と思い、あまり版型の大きくない『ふゆねこさん』(ハワード・ノッツさく・え/まつおかきょうこやく、偕成社)
や、繊細な絵の『時計つくりのジョニー』(エドワード・アーディゾーニ作/あべきみこ訳、こぐま社)なども読み聞かせして、なかなか好評でした。









しかし、子どもたちが本の世界に入るまでに時間がかかる上、気も散りやすく、手ごたえを感じにくいので、読んでいて消耗しやすい、時々機器の不具合に見舞われる、写真がボケたり光ったりして見にくい場合もある、絵を指さしたりめくり方を工夫するのが難しいなど、やりにくさを感じる部分も多く、読み聞かせのスペースにギュッと集まって行う読み聞かせの良さも、改めて実感しています。


■4年生、ノンフィクションのポップ・帯づくり■

 2学期の終わり、4年生が今年度はじめてクラスで来館し、国語の「事実にもとづいて書かれた本を読もう」(光村図書 国語四上 「かがやき」)の単元でノンフィクションについて学び、実際に読むため、ノンフィクションの本を一人1冊ずつ選んで借りていきました。

 その際、「伝記とルポルタージュとドキュメンタリーの違いを説明して、それぞれのジャンルに当てはまる本を何冊か紹介してほしい」という先生からの依頼をお受けしたものの、ルポルタージュとドキュメンタリーの違いをなかなかうまく説明することができず、司書部会に助けを求めました。最終的に、附属高等学校の司書さんが、光村図書に問い合わせてくださり、

 ドキュメンタリーは,実際に起こった出来事や事件の記録,ルポルタージュは,筆者が現場におもむいて書いた報告文です。どちらも,ノンフィクションの中に含まれるジャンルではありますが,ルポルタージュは「現地からの報告」という意味合いの強いものです。ですので,小学4年生にご説明されるにあたっては,「ドキュメンタリーは,実際にあった出来事の記録です。ルポルタージュは,書いた人が,その場所に行って,見たことや聞いたことを報告した文章です」というようにお話しいただくとよいかと存じます。

という、大変明快で丁寧な回答を、共有してくださいました。授業でも、そのように話したところ、子どもたちも納得して、私自身も非常に勉強になりました。

3学期に入ってからは、実際に読んできた本を、それぞれがポップや帯で紹介する活動に取り組んでいます。どんなものができあがるのか、とても楽しみです。
 












■図書委員会活動■

委員会活動は、2学期になってようやく始まりました。例年、貸出・返却などの毎日の活動に加え、委員会独自の活動として、1年生への読み聞かせや、クイズキャンペーン等を行ってきたのですが、今年度は人を集めるイベントはできません。そこで、マルチメディア室に展示して、来館した子たちを楽しませる「一箱本屋」の活動を行いました。

「一箱本屋」とは、段ボール1箱のなかに、あるテーマに沿った本を数冊選んで展示する活動で、司書は昨年度、帝京大学共読サポーターズによるワークショップ「学校図書館入門講座Ver.10;使える学校図書館を作ろう」より)で経験しました。少しアレンジをして、曜日当番グループごとに、段ボール1箱に、テーマを決めて本を集めて展示、「売上(貸出冊数)」を競うこととし、ワークシートを配布して、⓵本屋の名前、②コンセプト、③販売する本(一人2冊まで)を記入、その後お店を自由に飾りつけしました。作業に苦戦したところもありましたが、10月ごろには5店の個性的な本屋ができあがり、軒を連ねて開店、2学期の貸出冊数に貢献してくれました。

 













■展示■

「せっかくある英語の本を、もう少し活用してはどうか」という提案を管理職からもらいましたので、今月から、日本語と英語、両方を所蔵している本を並べて展示しています。動くのは主に日本語版ですが、「日本語版、他の子に借りられちゃったから、英語にする」と、読み聞かせで紹介した『くまのコールテンくん』(ドン=フリーマンさく/まつおかきょうこやく、偕成社)の英語版を、嬉しそうに借りていった1年生もいました。

             









(東京学芸大学附属大泉小学校司書 富澤佳恵子)



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