今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属高等学校図書館

2023-02-03 12:35 | by 岡田(主担) |

 早いもので、今年度も残すところあと1ヶ月です。
今回は東京学芸大学附属高等学校図書館の一年を振り返ってみたいと思います。

1.図書館活用授業の様子
先月の図書館授業の様子です。3学期が始まり、毎日のように図書館授業が行われています。社会・国語・家庭科・保健などの教科使用に加えて、探究学習の資料利用が定着しつつある中、図書にさらなる多様性が求められ、レファレンスに忙殺される日が続きます。
授業使用が重なった日は、先着順としてお断りしなければならない事もあり申し訳なく思っています。

「保健体育 飲酒」についての授業画像です。教員が学校図書館を使いやすいように、教室と同じWi-Fi環境・同種のモニターが必要だと常々考えています。

授業で活用する学校図書館は賑やかです。テーマや方向性が決まるまでは、資料の回し読みや棚に本を探しに行く生徒で図書館が活気づきます。本校では授業中に静かな図書館を目指してはいません。


2.司書の授業参加
今年度も「金融教育」「ビブリオバトル」「ブックトーク」「探究授業」と様々な教科で授業に参加しました。一人職場で持ち場を離れることは難しいですが、依頼されれば可能な限り教室にも出向き、図書館内だけではなく授業共有をするようにしています。

※出張授業(ブックトーク)
音楽授業「私の出会った音楽」をテーマに1年生の授業でブックトークを行いました。高校生のブックトークはフォーマルなものとしテーマ・目的を生徒に明確に告げてから行います。生徒から「司書が本を使っての授業が新鮮だった」「紹介してくれた、この本大好きです」との感想をもらいました。



※授業参加(金融教育授業)
金融庁の職員が教壇に立ち、「18歳成人」を踏まえての金融教育授業です。外部講師との連携授業は視点が広がり、生徒の発言も具体性をおびてきます。


※参加授業(ビブリオバトル)
以前、図書委員会で行ったビブリオバトルを、図書部だった教員が国語の授業として行いました。
図書委員会の催しで行ったビブリオバトルとは、内容も紹介する本もチャンプ本も違い、その比較も勉強になります。紹介された本のリストを授業後に教員と共有し、館内での展示を行い、生徒への推薦図書としました。


3.教育実習生(学芸大学)による図書館活用授業
学校図書館を授業活用できる教員が少しでも増えて欲しく、実習生の図書館授業を積極的に行なっています。オリエンテーションでも呼びかけ、ここ数年は毎年実習生による図書館授業が行われています。(本年度は2教科で実施)教科も数学・国語・家庭科・音楽と幅広く使用されるようになりました。教育実習生が本校の図書館で学んだ事を教育現場でも生かしてほしいと願っています。


4.生徒作品館内展示
図書館授業で関連したレポート、作品は館内展示を行います。
レポートは生徒が資料をどのように活用したかが理解でき、次の授業に向けての参考になります。作品展示は、他の生徒の作品を見ることにより、授業の振り返りや生徒間の相互理解、授業内容の共有が深まります。

※レポート展示「SDGs を調理から考えよう」
「◯◯君、家ではこんな料理つくるんだ〜」「お父さんの感想がなかなか厳しい!」などクラスでは見られない友達の一面に生徒たちも楽しそうでした。


※被服作品展示 + 英語資料『はらぺこあおむし』
偶然、英語で資料依頼をされた『はらぺこあおむし』と展示作品がリンクしました。
図書館で授業支援を行なっていますと不思議ですがよくあることです。


5.行事関連展示
社会見学実習 「世田谷美術館 Hコース文化財の保存と教育」の展示です。
「宮城宗太郎展 2022/9/17〜11/13」が世田谷美術館で行われた時の図録を購入して参考資料としました。宮城宗太郎は本校OBですので、生徒に美術館を身近に感じてもらう工夫です。


6.大学図書館展示
学芸大学図書館から依頼を受けて、大学図書館で本校の学びの展示を行いました。
労働新聞「働くことのリアル」を現在展示中です。就職活動で苦労をしている学芸大生に向けての附属高校からの応援メッセージです。


7.図書委員活動
通常の図書委員活動(カウンター班・整理班・広報班)に加えて、ビブリオバトル・本の買い付け・辛夷祭参加・読書会・他校との交流会など行ってきましたが、コロナの影響で活動自体が禁止となっています。そこで今年は広報活動に力を入れ、図書新聞を5回配布しました。3月には「卒業生おめでとう」号を出す予定でいます。


8.外部発信
※第63回全国国立大学附属学校連盟高等学校部会教育研究大会

主催校として 図書館分科にて「電子図書館の導入」発表  

※第21回公開教育研究大会
 
芸術科(音楽1)日本歌曲「さくら横ちょう」加藤周一 資料支援 
     
※文部科学省学校図書館研究事業
Vol13
授業実践報告「附属高等学校図書館の教育実践紹介」

※先生のための学校図書館データベース 掲載5件
A0406「ポスト真実時代のジャーナリズム」 A0407「ハンナ・アーレント」 A0410「金融教育」 A0411「高齢者とは」A0412「SDGsと調理実習」


 コロナ禍で、できないこと継続すべきことが明確になってきたように思います。
忙しい毎日の中で、日々変化していく生徒の学びとともにいる学校図書館を模索しております。  
             
               (東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)

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