今月の学校図書館

こんなことをやっています!

香川県琴平町立琴平中学校

2023-04-05 11:21 | by 村上 |

 当サイトに、「こんな素敵な本棚を手作りしてもらいました!」というメールが届きました。そこで詳しくお話を伺ってみると、町にたった一つの中学校が新校舎に建て替わり、それを機に未整理状態だった学校図書館も1からスタートすることになり、地域の人も巻き込んだ「図書部」が大活躍。そして、更に強力な助っ人として現れたのが、技術科の先生と生徒たち!素敵な手作りの備品と、きちんと分類配架されて生まれ変わった学校図書館を、学校司書の嶋田貴子さんにご紹介していただくことにしました。(編集部)



 琴平町立琴平中学校は、一生に一度は金毘羅参りといわれる785段の石段でも有名な「金刀比羅宮(こんぴらさん)」がある町にあります。香川県は全国で一番小さい県で、琴平町は、その中でも2番目に小さい町。そして人口は約8,000人の高齢化が進む町です。そして公立図書館が無い町です。町内に公立中学校は1校で、生徒数は約170人。1947年に開校し、2020年に校舎、体育館を全面改修し新校舎(写真右)ができました。琴中図書館は、木を基調にした広く明るい部屋です。ただ分類、登録が出来ていない未整備の図書館でした。

 2022年5月に赴任し、さあ、この未整備本の約1万冊をどうしたらいいのだろう。開校当時の本が混じる図書の除籍や分類されずに並ぶ図書を分類順に並べ替えるには、どうしたら良いのだろう?

 そこで夏休みから生徒、先生、地域の人に声をかけ「図書部」を作って、本の大移動、整備などを始めました。整備した本は、本棚の幅の長さに廊下に積み重ねて、必要な本棚の数を測る体力仕事を生徒さんにしてもらいました。これは、山形県鶴岡市の五十嵐絹子氏の体験談を参考にしました。

 図書のラベル貼りや修正、昭和時代の本などの仕分けなどは、ルールや方法を作っておき、地域のボランティアの方々も含め進めました。

 そんななか、校長先生の応援と技術科の先生の力が、図書館改造と私の頑張る励みとなります。(写真上は、作業風景)

 図書館用具が全くなかった琴中図書館。必要な図書館用品を提案すると、技術の先生と生徒さんの連携でブックトラック、新聞1年間保存架、分類表示ぶんるい君(愛称名)、新刊本のディスプレイする「本の木」、分類仕切り板など余った木などを利用して、見違える図書館と変貌していきました。

(写真は、ブックトラック、新聞ラック、分類表示ぶんるい君、本の木)















 


   特に熱心に携わってくれた3年生の生徒さんからの感想を聞いてみました。
「本を借りるとき、すごく見やすくなって、本との出会いが多くなり図書館に来るのが楽しみになった」
「本が増えて(本当は増えてなく古い本を除いただけ)貸出の仕方がバーコード貸出になり気軽に利用できた」「分類板や分類君があることで本が探しやすくなった」

(写真下 分類表示ぶんるいくん 課題図書/郷土資料)


(写真上 図書館内の様子)
 先生からも「図書館が明るくなり、入りやすくなった」「以前は古い本が並んでいるイメージで興味がわかなかった」「司書さんがいることで、レファレンスができ、読書の意欲が湧いた」「給食時のおすすめ本紹介放送で、本に興味がない生徒も図書館に行くようになった」「授業に使える本を探してもらえるようになった」ととても嬉しい評価を頂きました。

 2023年度は、図書が分類順に並んだことで、図書館案内が出来ます。図書館に慣れていないすべての生徒さんにオリエンテーションを行い、学習や読書意欲に応えられる図書館として始動したいと考えています。

 また、町に暮らす方々と町で生まれ育つ生徒さんとで郷土愛を育む企画 紙芝居「琴平の昔話」を制作してみたいです。地域の人も生徒を可愛く思える事でしょう。これからは、図書館の敷居を下げ、利用に繋がる試み図書館「読み聞かせタイム」など本と繋がる機会を創りたい夢もあります。楽しみです。

 今後の琴平町立琴平中学校図書館を注目していてください。
(文責 琴平中学校 学校司書 嶋田貴子)


 学校の教職員、生徒、地域の人まで巻き込んだ琴平中学校の図書館リニューアル、もうすでに、自分たちの学校図書館という意識を共有しているはずです。次は、この図書館を活用して行われるであろう様々な授業実践をお待ちしています!(編集部)

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