今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属竹早中学校

2023-09-11 11:13 | by 中村(主担) |

《図書委員 店頭選書ツアー》

 去る8月1日、本校図書委員会では、メディアセンター(図書館)に入れる本を直接書店まで選びに行く「店頭選書ツアー」を実施しました。
 きっかけは、毎年おこなっている国立大学附属中学校の図書委員による交流会で、他校の店頭選書についてお話を伺ったことでした。「ぜひうちでもやってみたい!」という生徒の希望を受け、すでに実施している学校さんにいろいろと情報を教えていただき、この夏に希望者による店頭選書ツアーが実現しました。 
 今回店頭選書をお願いした会場は、学校からほど近い池袋にある「ジュンク堂書店 池袋本店」。池袋駅から歩いてすぐの距離で、地下1階から地上9階までビル丸ごと1棟が書店になっています。
 選書ツアー当日は参加希望生徒と司書教諭、司書とで開店前の正面入り口に集合です。この日はとても暑かったのですが、とても楽しみにしていた生徒たちの中には、30分以上前から並んで開店を待ちわびている子もいました。
 
 開店後、まずは丸善ジュンク堂書店のご担当の方から選書のやり方についてレクチャーを受けます。方法は至ってシンプルで、気になる本のバーコードをハンディターミナルで読み込んでいくだけ。蓄積されたデータは後日学校に送られてくるので、すでに所蔵している本との重複はないか、他に問題はないかなどのチェックを経て、注文確定となります。
 今回の選書ツアーにあたり、事前に決めたルールと予算があります。「他の利用者の方々に迷惑となるような行為は厳禁」「あまりにマニアックで個人の好みに走りすぎる選書はせず、たくさんの生徒に読んでもらえるような選書を心掛けること」この2点を繰り返し伝えていました。せっかく設けた機会です。なるべく生徒が選んだ本はすべてそのまま購入したい。だからこそ、選書にあたる上での心構えを大切に臨んでもらいました。後日送られてきた選書リストを見たところ、概ねそのような選書ができていたように思います。

 さて、いよいよ選書開始です。生徒は散り散りに、自分の興味のあるフロアへ向かっていきました。上の階から順に降りてくる生徒もいれば、真っ先に3階の文芸フロアを目指す人、はたまた「今日は事前に調べてきたので地下1階に入り浸ります」(地下1階はコミック、ゲーム関連本)という人も。「偏り過ぎないでね~」という再度の声掛けの後、大人の私たちもそれぞれお目当てのコーナーへと散っていきました。
 
 1時間半の選書時間はあっという間に過ぎてゆきます。フロアごとに様々な専門書が置かれ、ゆっくり本を選べるよう椅子も置かれています。かわいい雑貨やオシャレな文具も並び、思わず手に取ってしまうような仕掛けがいっぱい。何より書店を巡ると、展示の仕方や面白い特集テーマが学校図書館にとって大いに参考になります。選書後の集合時間には、生徒たちも充実した顔で「楽しかった~」と集まってきました。
 
 今回選書した本は、納品後、今後の委員会の中でラベルやブッカーを装備したり、POPを作ったりして図書館に並べられることになります。自分たちで選んだ本が書架に並ぶのは喜びもひとしお。じっくり味わった後はぜひたくさんの利用者に、自身の手で薦めていってほしいと思います。

 ※ ここまでの選書ツアーリポート文中の写真は、「honto店舗情報 - 池袋本店:ジュンク堂 - 店舗詳細」より転載させていただきました。


《イベントあれこれ》
 
 本校図書委員会は、生徒24名、委員会担当教諭2名と司書で構成され、週1回活動しています。主な活動内容としては、メディアセンター(図書館)の環境整備、イベントの企画・実施、文化研究発表会での発表などがあり、生徒主体で様々な取り組みをおこないながら来館者と本との橋渡しをしています。コロナ禍で多くの活動が制限される日々でしたが、ようやく今年度から少しずつ、できることが増えてきました。
 今年度1学期に実施したイベントをいくつかご紹介します。

*リレー小説*
 もはや恒例となった図書委員会主催リレー小説。一人1~3文ずつをつなぎ、みんなでひとつの物語を紡いでいきます。模造紙の大きな原稿用紙は学年ごとにロビーに掲示されます。書き出しの1文は全学年共通で、今回は「いつからだろう、私のメガネが話し出したのは。」なんともシュールな設定から始まり、3学年で違った世界が広がっていきます。図書委員も呆然とするくらい支離滅裂なまま終わっていく学年もあれば、「これすごいね」と思わず唸ってしまう格調高い作品が出来上がった学年もあり・・・。予測のつかない結末に向かって、毎回たくさんの生徒や先生が参加してくれます。
 リレー小説の実施に当たっては、事前に充分な打ち合わせをし、トラブル防止や約束事の周知を徹底します。それでも毎回課題が生まれますが、竹早中の風物詩として、長く続けられるといいなと思っています。

*ビブリオバトル*
 一般生徒からも参加を募り、オープン開催としては初めてのビブリオバトルをおこないました。途中で試験を挟んだりしたので告知期間があまり取れず、バトラー希望者は3人と少なかったのですが、友だちを誘い合ってたくさんの人が聴きに来てくれました。場所はメディアセンターのすぐ近くにある多目的ルームで、お互いの距離感も近く、終始和やかな雰囲気で進んでいきました。初めてビブリオバトルを知った人の中には「次はバトラーもやってみたい」と思ってくれた人もいて、新しい本や人と出会うきっかけになったようです。

*出張図書館*
 中学の教室から遠いメディアセンター。待ってるだけじゃもったいない!・・・ということで、こちらから選りすぐりの本たちを連れて教室のある中学校棟まで出張しました。
 ブックカートにお薦めの本を積み込み、POPを添えたりして、各学年のロビーへゴロゴロゴロ。ちょうど七夕の季節だったので、笹をカートにくくりつけていった学年は、短冊を書く人でとても賑わったそう。本を借りた人にしおりをプレゼントした学年は、貸し出しも一番伸びました。「先生どうしよう、見るだけで誰も借りない」とSOSに来た学年もありましたが・・・。どうやったら人を惹きつけられるか、まだまだ工夫の余地があるイベントとなりました。

*保護者の方によるおはなし会*

 竹早中とメディアセンターを共有している附属小学校では、学期に1回ほど、保護者の図書ボランティアによるおはなし会が開かれています。今回初めて、中学生を対象としたおはなし会を同ボランティアの方々が開催してくださいました。現在の中3は小6の時にコロナ禍で、最後のおはなし会を経験していないとのことから、ぜひにと、小中どちらにもお子さんがいらっしゃるお母さまが中心となり、会が実現しました。
 当日は部屋を真っ暗にして、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をブラックパネルシアターで上演してくださいました。図書委員を始め、誘い合わせて来てくれた生徒たちや先生方は、つかの間の贅沢な時間を味わっていたようです。中学生くらいになると、本を読んでもらう機会があまりないのが実情。たまには誰かに読んでもらうのもいいね、などと嬉しそうに話しながら帰っていきました。
 図書委員もお母さま方の読み語りの技をしっかり学んだはずなので、今度は自分たちが誰かにおはなしを語る、という場を作っていけたら素敵だなと思います。


 2学期には大きなイベント「文化研究発表会」があり、図書委員会も発表団体として前期から話し合いを続けています。楽しみながら、考えながら、時に失敗しながら、様々なやり方で、メディアセンターを支えてくれる図書委員生徒たち(プラス有志手伝い生徒たち)。今後も一緒にいろいろな取り組みにチャレンジしていきたいです。

 (東京学芸大学附属竹早中学校 司書 中村誠子)

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