今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属世田谷中学校

2016-05-16 10:55 | by 村上 |


 新年度は、入学・進級したことで気分も一新、何か新しいことに挑戦しようという気持ちを持っている生徒も少なくありません。この時期は、図書館としての働き掛けだけでなく、授業と連携し、本に親しむきっかけづくりを心掛けています。4月・5月の本校の取組を紹介します。


  
 1年生へのオリエンテーション (国語科)

 ここ数年国語の授業の一コマとしてオリエンテーションを行っています。学校司書からは、端的に伝えたいことをまとめた「図書館利用案内」をその場で配布し、黙読してもらいます。そして、分類についての簡単な説明を聞いた後に、館内をゆっくり歩き回って、読みたい本を一冊選んでもらいます。

 本校では、国語科の先生方と協力して、生徒には、3年間で100冊読もう!と呼びかけています。読書習慣を身に着けて欲しいと、1冊読んだら名刺サイズの読書カードに書誌情報を書いて、読書ファイルに差し込んでいく方法をとっています。そこでオリエンテーション時に、書誌情報の書き方や、レポートの最後に使った本の書誌情報を書く意味などを国語の先生から説明してもらいます。
 入学1ヶ月を過ぎたところで、1年生の貸出冊数は400冊を超えました。スタートはまずまずという感じです。

 

2年生への講演会 (総合)
 「インターネットにだまされない学び方:確かな情報を探し、自分の頭で考える方法」
 4月22日午後、中央大学学事課の梅澤貴典氏をお招きし、上記タイトルの講演を行いました。前半は、「人はどうしてウソをつくのか、そしてなぜ騙されてしまうのか」を、身近な例を織り交ぜながらお話いただきました。後半は、信頼できる情報を発信することの意義や具体的な方法について学びました。1時間半の講演をしっかり聞いたことで、調べるならネットで…という習慣が身についてしまっている世代の中学生に、無料で手に入る情報だけで物事を考えることの危うさが伝わったように思います。6月から始まる2年生の探究型学習での情報収集が少し変わっていくことを期待しています。
(講演内容については、『読書・情報リテラシー』で紹介する予定です。)

 


3年生 読書郵便(国語科) “○○な70回生に向けて”

 随筆・エッセイを読むことが春休みの課題となっていた3年生。読んだ本を1年生(70回生)に向けて紹介文を書きました。日頃小説ほどは動かない随筆・エッセイですが、図書館で借りた本を紹介するという縛りを設けたので、159冊の本が借りられ、工夫を凝らした紹介カードが出来上がりました。
 まもなく、全員の作品を展示コーナーに本と一緒に並べる予定です。その際、1年生の先生にお願いして、紹介しているエッセイを読んでもらうことにしました。


新聞への投稿 社会科

 本校では、昨年から社会科の先生が、様々な機会をとらえて、新聞への投書を生徒に呼びかけています。昨年は4大紙をはじめとし色々な新聞に計179もの投書が採用され、先生も生徒も驚くほどの成果でした。 図書館ではこの投書を1ヶ月ほど掲示して、そのあとはファイルにとじ込んでいたのですが、今年は、図書館のテーブルにクリアシートを敷き、その下に投書を挟み込むことにしました。 これなら、時間がある時に読んでもらえます。早くも1枚目のクリアシートが満杯になり、今月は2枚目に入りました。
 1年生も、このGW開けに、初めて投書にチャレンジしました。テーマは「グローバル時代と私」「グローバル時代に地理を学ぶ意義」です。ちょっと難しいので、先生から「図書館に投書するにあたって具体的なイメージがもてるような本を並べていただけますか?」と依頼されました。

 そこでさっそく、左のようなコーナー展示をしました。先生が図書館へ行くようにアナウンスしてくださったので、たくさんの生徒が図書館にやってきました。棚を見ただけで、一瞬でイメージがつかめた生徒もいますが、本を手に、友達や司書と話すことで、なんとなく求められていることがわかった生徒もいたようです。足りない知識を得るため、あるいは自分の考えをまとめるために本が役立つという経験をたくさんしてほしいと思っています。




図書館から


 さて、本校は今月末が運動会です。縦割りのクラス対抗なので、図書館の展示コーナーは、こんなふうに、クラスカラーで並べてみました。こうしてみると、色による傾向が本にもあるようで、面白いです。ふだんは本の内容で展示をしているので、一瞬見ただけでは、何のコーナーかわからないようですが、気づくと納得!面白がってくれます。借りられるとすぐ補充できるのも楽でいいです。




 

 
 3月から引き続き展示しているのが、上橋菜穂子さん『守り人』シリーズのテレビドラマ化に合わせた展示です。今は世田谷文学館の上橋菜穂子展も始まったので、その大きなポスターも展示しています。

 今年も、生徒にとって一番身近な図書館でありたいと思っています。





 

                      

 文責 附属世田谷中学校 村上恭子



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