今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属小金井中学校

2016-06-03 11:38 | by 井谷(主担) |

今月の学校図書館

 平成28年度も東京学芸大学学校図書館運営専門委員会では、文科省の「司書資格・養成の在り方や資質能力の向上等に関する調査研究」を受託いたしました。
 研究の1つとして5月24日(火)に行われた公開授業の様子を中心に、小金井中学校図書館の現在を紹介します。

 今回の図書館を活用した授業は、総合的な学習の情報学習オリエンテーション。2013年度に実施した「つなげよう3冊の本」(事例A0178)を改良・発展させたものです。
 1年生は、すでに4月の学校生活オリエンテーション時に、技術科室にてパソコンの使い方、図書館にて図書館の使い方、情報検索の仕方を学習しています。その次の段階として、多様な視点から実際に図書館で資料を探す練習をしました。

 まず、司書教諭から、きょうの授業の流れを説明。
「図書館を使ったゲームをします。」

 次に司書からルール説明をします。
「こちらに1枚ずつ異なった言葉の書いてあるカードが裏返しにおいてあります。そこから1枚引いて、それぞれ3冊の本を探します。但し、一つだけルールがあります。それは、3冊全て、違う類から見つけてくると言うことです。」


 


 

 3年前に行ったときには、多くの生徒が「類」について忘れていて、
作業が手間取ったという反省を
ふまえ、今回は分類番号や類の数字の拡大コピーを使い、説明を詳しく行いました。
 たとえば、私が「犬」というカードを引いたとして、自然科学の4類、飼育の6類、盲導犬の3類という風に、探し方のヒントも交えて説明していきます。






 

 今年は、全学年に書誌情報を記録する事を重点目標にしているので、書誌情報の4項目について司書教諭がチェックしたところで、実際に一人一人カードを引いてゲーム開始です。




 









 すぐに書架に向かう生徒、分類番号表の前でどこに行くべきか考えている生徒、百科事典でキーワードを探す生徒と様々です。苦戦している生徒に助言をし、とにかく全員最低2冊見つかったところで一応終了。ワークシートに書誌情報を書きます。

 

 今度はクラスの仲間がどんな本を選んだのかお互いに見合い、一番良いつながりと思うワークシートにシールを貼っていきました。このとき、参観の方々にも別の色のシールを貼って頂きました。最も票を集めた生徒がどのような視点で本を見つけたかをスピーチし、最後に感想を書いて授業は終了しました。



 公開授業後の協議会では、それぞれの学校や図書館で
「自校でするなら、このような形で実施するといいかも」
などの様々な意見が活発に出され、どんな校種でも少しアレンジすることで気楽に取り組める授業例なのではないかとの思いを強くしました。

 回収したワークシートの感想には、「いろいろな分類の本をみられた」「別の視点で見る大切さがわかった」「調べ学習の時もいろいろなジャンルから選びたい」「本を選ぶとき一人一人の考えがあらわれて面白かった」「○○さんの考え方が広くてスゴイ」「新たに面白そうな本に出会えた」などと書かれていて、楽しく学べた生徒が多かったように思います。
 その後、このクラスの本の貸し出しが急激に増えました。(この状態が長く続くように祈っています。)
 
  この授業の詳しい情報は、今後事例に載せる予定です。



 公開授業のほか、5月は2年生の社会科で、ディベートのような授業を図書館で行いました。
「織田信長は道半ばで倒れてしまったたので、近世社会をつくるという点で功績はなかった」
「徳川家康は前の人々の政策を引き継いだだけなので、近世社会をつくるという点で功績はなかった」のそれぞれを肯定側・否定側から論じ、どちらの意見が適切か判断する授業です。これは、班で協力して書籍やインターネットを活用し証拠を見つけていく活動が重要で、証拠集めから発表まで図書館で行われたため、司書の私も興味深く拝見していました。
 そして、さりげなく3人の武将が重要人物として登場する小説コーナーもつくっておくと、早速誰かが『火天の城』を借りていきました。
















 6月は、毎年恒例図書委員会のスタンプラリーキャンペーンの季節です。
 今年も、6月6日から始まりました。キャンペーンカードと、はんこ3つでもらえる栞がこちら。全部クリアするともらえるブックカバーは、これから図書委員会キャンペーン班で制作します。
 1年生を中心に大勢の生徒が参加し、6月の図書館は大変賑わっています。

(東京学芸大学附属小金井中学校 司書 井谷由紀)
 




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