今月の学校図書館

こんなことをやっています!

東京学芸大学附属国際中等教育学校

2019-10-01 21:16 | by 渡辺(主担) |

 読書の秋を迎えました。10月は東京学芸大学附属国際中等教育学校の総合メディアセンターのようすをお伝えします。
 9月20日からはじまった、日本でのラグビーW杯。日本チームはもちろん出場国の熱戦に、大変な盛り上がりをみせています。館内でもW杯の開催にあわせ、ラグビー本コーナーを設けました。入口には図書委員の生徒と段ボールで作ったユニフォームを飾り、展示コーナーには小さなラグビー場をつくりました。このラグビー場はとても簡単!用務員さんから借りた未使用の緑の土足拭きマットに、白いお箸をH字にしてさしただけです。お箸の先端には、万が一生徒の目を刺さないよう、美術の先生に丸く紙粘土をつけてもらいました。この展示コーナーを見た体育の先生は、「お箸で作るなんて、良いアイデアだね!」と笑いながら写真をとっており、図書委員は満足気でした。














 さらに、館内窓辺の特別展示コーナーでは、「今、世界の海は~海洋汚染からみるプラスチックごみ~」をテーマに資料展示をしています。テーマ展示をする際に意識していることは、図書だけではなく、関連雑誌や新聞記事も掲示をする、ということです。生徒は課題やレポートに取り組む際、多様な情報源にあたるよう指導されています。そのことを司書としても意識して、テーマ展示をするときはけして本だけの展示にならないようにしているのです。
















 しかし、生徒から「これはリアルすぎで怖っ!」と苦情を言われたのは、こちらの「昆虫食」本のコーナーの表示。今森光彦さんの『切り紙昆虫館』(童心社)を参考に虫たちを作ったのですが、昆虫食ということで、紙皿に飾ったことで気味が悪くなってしまったようです。展示した資料への関心よりも、昆虫の切り紙に注目が集まってしまいました・・・。
 
 ところで本校は国際バカロレア認定校として、約740名の生徒が在籍しています。このうちの4割が帰国生または海外教育経験のある生徒たちです。このため、「多言語コーナー」では、現在英語の他に、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語を蔵書にしています。
 しかし難しいのは選書です。すべてに目を通して選書をすることができないので、すでに日本で翻訳され、ある程度評価の定まった作品の原書を中心に蔵書としています。

 また洋書の書評などもチェックするようにしていますが、このうち月に一度発行される朝日新聞の「Globe」には、”世界の書店からBestsellers"というコーナーがあり、英語だけではなく、ドイツ語や中国語などさまざまな言語の本のベストセラーが紹介されます。9月の記事では、スウェーデンの環境活動家である16歳のグレタさんのスピーチ集がベストセラー1位となっていました。まさに各新聞でもグレタさんのことが掲載されていた時期だったので、すぐに本を購入をして新聞と一緒に掲示したところ、「あっ!この子テレビで見た!」と、すぐに生徒が借りていきました。

◀朝日新聞「Globe」の「世界の書店からBooksellers」
 

 同じ作品の日本語版と原書を一緒に並べたコーナーでは、「日本語と英語でタイトルが全然ちがうね!」「英語版の『獣の奏者』の装丁すてき~」など、休み時間に生徒たちが大勢立ち止まっています。和書も洋書も表紙を見せて展示をすることで、生徒が本を手にする機会はとても高くなることをあらためて実感しました。

                                                        
                                   ▲『獣の奏者』上橋菜穂子(日本語版と英語版)
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡邊有理子)     

      

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