今月の学校図書館

こんなことをやっています!

幻の図書館講演会

2020-03-12 16:44 | by 井谷(主担) |

 東京学芸大学附属小金井中学校も、32日より休校となりました先日、卒業生・保護者・教職員のみの卒業式が行われ、この後1.2年生は、全体では集まらないクラス学活のみの修了式が行われる予定です。今月はそんな金中図書館から「幻の図書館講演会」を中心に報告します

 

 2年生は12月に「私の主張発表会」に全員で取り組みました。その後、国語科では「思っただけではなく、実際に行動した人の伝記やノンフィクションを読もう」という単元に入りました。

 の附属校からも本を集め、およそ250冊を「病」「戦」「災」「人権」「その他の伝記」にざっくりと分けてかごに入れておきます。授業ではその中から何冊か内容を紹介しましたが、紹介するたびに借りられるので、どのクラスもまったく違うラインナップとなりました。

 例えば「病」のかごからは、

・目、耳、口の障害を克服したヘレン・ケラーの伝記
 『ヘレン・ケラー』 (
ちくま評伝シリーズ 筑摩書房編部編)

・そのヘレン・ケラーが大学への入学時に使った「点字」を発明したルイ・ブライユの伝記
  『暗やみの中のきらめき』(
マリヤリーサ・ディークマン 汐文社)

・逆に、体の「目」以外の部分が動かない難病ALSの人が書いた
  『私は目で話します』(
たかおまゆみ 偕成社)

と言う具合に、何冊かずつ関連付けて紹介していきました。

(詳しい授業の内容や本のリストは、このあと、事例に挙げる予定です) 

 

 最後のクラスで「人権」のかごから紹介したのがこの本。
『図書館への道  ビルマ難民キャンプでの1095日』
渡辺 有理子
すずき出版
2006年


「これは、ビルマの難民キャンプで、図書館を作った日本人スタッフの実話です。ふつう、難民キャンプと言えば、「食料」や「医療」を提供すると思いますよね。ところが、このボランティア団体は「子どもたちには本が必要だ。それも、母国語で書かれたものが」という強い信念を持って、なんと、3年間で18もの図書館を作ったのです。そして、現地の難民たちに司書の仕事を教え、自分たちがいなくなっても運営していけるようにしました。そんな3年間が書かれている本です。

 実は、この著者はその後日本に帰ってきてから、同じ学芸附属の国際中等教育学校の司書になっているんですよ!」
 もちろんこの本も早速生徒の一人に借りられていきましたが、生徒よりも興味を示したのが、司書教諭でもある国語科教諭。

「そんな素晴らしい人が身近にいるんですか!?」
「以前、スライドを見ながら、現地の話を聞きましたが、とても良かったですよ」

「ぜひ、この2年生にもお話していただきたい!」

いうことで、早速国際中等の渡辺司書に連絡を取ると快諾してくださり、39日と日程も決定。1学年全員が入る部屋ではなく、狭いけれども図書館にぎゅうぎゅうに2クラス入れ込んで、2回講演をしていただくと話はとんとん進み、準備を進めていましたが・・・

残念ながら今年度は実現せず、幻の講演会となってしまいましたが、来年度状況が落ち着いたらぜひと思っています。



 ちなみに、休校に入る直前の金曜日、この司書教諭は

「多分、公立図書館も休館になるだろうから、借りたい人は何冊でも借りてよし!」

と、次々2年生を図書館に連れてきて借りさせ、それを聞きつけた英語科教諭も

「ならば、多読テキストも」

と一緒にやってきて、なんと一日で550冊もの貸し出しがありました。オリエンテーション時期でもこんなに一日に貸し出したことはなく、さぞかしバーコードも「今日は働いた~」と驚いたことでしょう。 




 今年度小金井中では、「9類に偏らない幅広い読書」をテーマに活動してきました。それは図書委員会にも浸透しており、冬のキャンペーンにも現れていました。

 例年は、縦割り対抗でその年流行った本の表紙を作っていくのですが、

(司書のお役立ち情報 27 集めて貼って本の虫 参照)

今年度は対抗ではなく、全員で表紙を作っていく。しかも、0~9類の本10冊の表紙を作りたいと委員から意見が出ました。

 
 キャンペーン係でまず、各類から1冊ずつ選びます。その類の特徴が分かり、しかも面白そうな本を苦心して選んでいました。中には、普段近寄らない類の担当になってしまい、
はじめてその棚の前に立つような生徒もいましたが、何とか選んで表紙をコピー。結果は、このようになりました。結構いい本を選んでいると思いませんか?








 その図書委員会では、毎年卒業前に何かしらの制作物をプレゼントしていってくれます。昨年度はこの「こたつ」でした。冬の間中、まわりにかわいらしい本を並べ、ほっこりさせてもらいました。



























 今年度はさすがに無理だろうなと思っていましたが、なんと、各自が家で制作したそうで、卒業式の日にこんな素敵なカレンダーを持ってきてくれました。図書館前の廊下において、キャンペーンや、新着図書の貸し出し開始日などを書き込んで使ってくださいとのこと。4月からありがたく使わせていただきます。

                   


                 (東京学芸大学附属小金井中学校   司書  井谷 由紀)

 

 

 

 

 

 

 

 



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