司書研修の報告

司書研修の報告

No.10「読めるのに読まないイマドキの若者たち」について考える学習会

2021-03-11 15:20 | by 村上 |

令和2年2月27日(土) 上記の学習会をオンラインで開催しました。

 対談形式で行ったこの日の学習会は、自由の森学園司書 大江輝行氏と、埼玉県立浦和第一女子高等学校司書 木下通子氏をお招きし、オブザーバーして慶應義塾大学非常勤講師 汐﨑順子氏にもご参加いただきました。
 
 3時間に及ぶ学習会でしたが、参加した方の誰もが、長さを感じることなく、充実した時間を過ごすことができ、多くのヒントを得たと感想を寄せてくださいました。

 報告をこの場に載せようと思ったのですが、あまりに長文になってしまうため、PDFファイルの形で、アップしました。ダウンロードして、じっくりお読みください。

  写真 自由の森学園図書館 シンボルのコウノトリ

              
読めるのに読まないイマト゛キの若者たち 学習会報告.pdf

 (尚、こちらの報告に関しては、著作権は発言者、およびこの会の主催者にあります。公的な研修等で配布されるときは、当サイトにご一報いただければ幸いです。)
  
 企画した側としては、「読めるのに読まない」という言葉ではくくれない実態をあらためて知ることになり、また、何をもって「読書」とするのかについても、多くの気づきを得た学習会となりました。講師を務めてくださった3人の皆様にあらためて感謝したいと思います。

 当日寄せられた質問で、答えきれなかったものを、当サイトに掲載しますとお伝えしましたので、すでにいただいた木下さんからの回答を以下に載せます。大江さんからの回答は、大江さんにお時間ができるまでいましばらくお待ちください。

 写真 埼玉県立浦和第一女子高等学校図書館 3年かけてつくってきた多読コーナー

 

  【木下さんからの回答】 続きを読むをクリックしてください。


・ライブマックスの検索システムとカーリルの検索システムはどう使い分いわけているのですか?

 →ライブマックスとカーリルの関係ですが、いまはカーリルはまったく利用していません。ライブマックスを利用すると、公共図書館と同じように、自分の貸出履歴や予約図書なども把握できるので、いまはライブマックス1本です。


・英語多読本の選書はどのようになさっていますか?
 →英語科の先生に選んでいただいています。


・ 「現時点で読んでいない子(目的達成するにはもっと良い方法がたくさんある、と言う子)」を説得というか、その感覚を溶かす方法がございましたら教えてください。

 →本を薦めるのはおいしいお菓子をすすめるのと似ている気がします。甘い物が苦手な人に、美味しいから食べてみてと言っても、甘いの苦手だからと言われてしまう。その場合、甘いのが苦手な人でも絶対美味しいから食べてほしいと私が思っていたら、食べてみてまずかったら辞めていいからとか甘いの苦手でも美味しいからと熱く語ると思います。学校図書館の本は全部読まなくてもつまらなかったら、やめていいからと伝えるようにしています。あと、こちらが読んで本当におもしろいと思った本を薦めることや、本の内容がきちんと伝わるように紹介できるように心がけています。お返事になっているでしょうか。


オンライン上の図書館ルームは、どのように活用されているのでしょうか。自由参加ならどれくらいの割合の生徒・教員が入っているのでしょうか。図書館側からの発信に、メンバーがコメントや質問をできるのでしょうか。

 →オンライン上の図書館ルームは、生徒は自由意志で入ります。1100人くらい生徒がいますが、現在、420人くらいが登録しています。授業のルームは別にあるので、話題はほとんど私からの発信で、週に2回くらい、本の紹介や新聞ネタ、時事問題など、生徒が知っておくといいだろうと思うような内容を発信しています。図書館側からの発信にコメントは返せるのですが、図書館ルームの中で返信をしてくる生徒はまったくいません。その代わり、メールで質問やコメントが入ります。ルームには教員も任意で入っています。


・お二方のお話から、どちらもまさに「読めるのに読まない子」たちに直面している現場だと感じました。更に深堀した(ご自身の近くにいる子どもたちの)お話をうかがいたいです。

 →ありがたいことに、私がいま勤務している学校の生徒は、本を読むのはいいことだと思っている生徒がほとんどです。なので、こちらが積極的にアプローチしていくと響く生徒が多いので、まさに司書冥利につきる職場です。あと、基礎学力があることと、小学生の時に本を読む習慣があったお子さんがほとんどなので、そういう意味でもアプローチは楽です。ぱっといいエピソードがでなくてすみません。


・ユーチューブに勝る楽しさを、どうアピールしたらいいのでしょうか?

 →手渡す側が本の楽しさを伝えていくしかないのではないでしょうか。運良く、私がいま勤務している浦和一女は、読む素養がある生徒さんが多いので、心をくすぐれば響きます。ありがたい職場だと思っています。


探究学習、調べ学習で、たくさんの生徒が一度の図書館にきたとき、どのように対応したらいいでしようか。また、先生方で、1つの資料を多くの生徒に提示したがる、複本資料を求めるケースがあるのですが、個への対応として、どのように工夫したらようでしょうか。

 →調べ学習など、1クラスの生徒がバラバラの課題を調べに図書館に来た場合は、私がぐるぐる回って困っていそうな生徒に声をかけています。一つの資料を複本で提供する必要がある場合は、他校や他の図書館から借りて対応しています。

                

 

(文責 東京学芸大学附属世田谷中学校 司書 村上恭子)

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