司書研修の報告
司書研修の報告
No.5 学校司書応用講座 2018.11.17
2018-11-27 15:24 | by 井谷(主担) |
平成30年度東京学芸大学公開講座
学校図書館応用講座Ver.8;授業に活かす学校図書館
□平成30年11月17日(土) 10:00~16:00
□東京学芸大学附属国際中等教育学校 総合メディアセンター
□プログラム2018.11.17学校司書応用講座プログラム訂正版.doc
(参加者 43名)
3-B発達心理学
●教育心理学
教室における「気になる子どもたち」の理解と支援のために
講師:東京学芸大学教授
附属大泉小学校校長 杉森 伸吉先生
教室における「気になる子ども」.pptx
気になる子チェックシート.pdf
どのクラスにも特別な支援が必要な子どもがいる可能性のある現在、問題行動をとる子どもの理解は私達司書にも不可欠である。最初に子どもに接する時の留意点を伺った。子どもは一人一人違うので、比較しない。行動の背後の思いを推論する。その子に世界がどう見えているのかを把握するなどである。
また、私達司書の利点として、「斜めの関係」という事があげられる。先生や親が「縦」、クラスの友人が「横」の関係であるのに対し、私たちは「斜め」であるからこそ、特別な関係性を得られる可能性がある。そのためには、子どもに寄り添い、子どもの発するアクションやサインを見逃さない感性を持つこと、また、子どもの興味を持ちそうな引き出しを多く持つこと、接する時は否定形ではなく、肯定的な言葉で出来たことを認めるなどを留意すると良い。
途中、班ごとに自分の困った経験について話し合う時間も取り、「読み聞かせの途中で騒いでしまう子にはどうしたらよいか」の質問には、「3回騒いだら、ちょっと遠くで待っていてもらう」と約束させるなど、具体的なアドバイスもいただいた。ただし、全ての子の学ぶ権利を保障するため、その点は慎重にとのことである。
気になる子も気にならない子も同じ人間である。何か問題が起きた時、「ダメだ」と思うのではなく、「本当は〇〇したいのかな」と温かい理解を心掛けたい。
4-C 情報リテラシー育成支援論 5-B 学校図書館連携・協働論
●国際バカロレア教育(IB)における探究型学習とは
講師 附属国際中等教育学校 副校長 藤野 智子先生
まず、附属国際中等教育学校の概要から伺った。2007年に「多様で異なる人々と共生・共存でき、進展する内外の国際化の中で活躍する力を持った生徒を育てる学校」として開校し、現在65か国もの国から帰国生を受け入れている。
ここで突然班ごとの課題「新聞紙1日分を使って高い塔を作るにはどうすればいいか」に全員が取り組んだ。短い時間だったが、話し合いながら試行錯誤する活動を体験した。 探究型学習とはその「プロセス」に重きを置く教育であり、探究をデザインし、検証し、問題解決を目指す。それぞれの学年で達成できるよう、段階を追った指導を目指している。
次にその探究型学習をサポートするメディアセンターの様々な具体的な取り組みが紹介された。多機能な学びが可能な場を確保し、資料の収集、精査、生徒への支援に司書が積極的に関わらなくては学びは深まらない。また、1つのものごとを6つのドア(観点)から見るなど、興味深いお話をたくさん伺えた。
4-C 情報リテラシー育成支援論
●ワークショップ「つなげよう、3冊の本」
附属国際中等教育学校司書 渡邊有理子
2018司書講座レジメつなげよう3冊の本.docx
本日の講座の最後に、図書館中を歩き回ってのワークショップを行った。2016年に附属小金井中学校で公開授業も行い、データベース事例にも載っている総合の授業での取り組みである。
生徒たちは毎年繰り返しオリエンテーションで情報収集、書誌情報について学んでいるにもかかわらず、充分身についてはいない。そこで、1つのテーマに対し、3つの違った類から3冊の本を探し出す活動を行ったと説明した後、実際に一人1つのテーマで本を探してもらった。25分間で本を見つけ、ワークシートに記入。その後5人の班で一人1分プレゼンをし、班の代表を決めてもらう。各班代表の発表では、さすがに本に詳しい司書の集まりだけあって、どの人もテーマを深めたり広げたりして、「なるほど」という本を選んでいた。
最後に、この活動の成果と展望をまとめた。生徒はおおむね楽しんで主体的に活動し、またグループ内での対話から刺激を受け視点が広がった。教員からも課題研究でテーマ設定をする生徒たちへの指導にも有効だとの評価を得た。また、内容を柔軟に変えて実施ができるため、いつでもどこでも実施可能な活動である。詳細は、DB事例A0259を参照のこと。(キーワードカード・ワークシート付)
(文責 附属小金井中学校 井谷由紀
附属高校 岡田和美 )