今月の学校図書館
こんなことをやっています!
東京学芸大学附属国際中等教育学校
2014-09-29 13:03 | by 渡辺(主担) |


今月は、東京学芸大学附属国際中等教育学校のようすをお伝えします。
9月1日から二学期がはじまりましたが、秋は行事が目白押し。まず生徒たちは9月13日、14日におこなわれた「スクールフェスティバル」の準備で大忙しでした!
★ 図書委員会のスクールフェスティバル参加
今年のスクールフェスティバルに図書委員会が出展をするのは5回目。図書館ではなく一般教室に移動し、「Honnto Motto(本ともっと)」というお店をひらいています。コンビニ弁当チェーンの「Hotto Motto (ほっと・もっと)」をもじっているだけに、間違って「あら?食べ物の企画じゃないのね?!」という来客もありますが、“本のある休憩所”というコンセプトなだけに、教室に入ると小さい子どもたちむけに絨毯が敷かれ、絵本もたくさんならんでいます。

毎年恒例となった絵本のクイズには、多くの幼稚園児や小学生がチャンレジ!今年の景品は図書委員が作った、色とりどりのハートのしおりでした!(参考『北欧にならうかわいい切り紙』PHP研究所より)


また、中央のテーブルでは、自由にパウチを使ってオリジナルのしおりを作れるコーナーがあります。家族で楽しむ姿もみられ、スクールフェスティバル期間中、とてもくつろげる空間となっていました!
そして、スクールフェスティバルが終わると・・・
★ SSH「サイエンス・カフェ」&「グローバル・カフェ」の開催
9月17日の放課後、メディアセンターでは第2回「サイエンス・カフェ」がひらかれました。
本校は今年度、文部科学省のSSH校(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けました。これは、将来的に国際的な科学技術人材を養成することを目的としています。

理系の話と思いきや、講義の冒頭は夏目漱石の話になり、生徒たちもびっくり。漱石が、帰国後に東大で講義(文学評論第1講1903年)した、“説明的Whyではなく、記述的Howが統計科学” という内容で、「詳しくは漱石全集を読んでみて」という椿先生の一言に、内心司書の私は大慌て。
すぐに所蔵を確認してみますが、「夏目漱石文学全集」はあっても、「夏目漱石全集」はありません。生徒たちが興味をもったときに必要な資料を提供するのも司書の仕事。すぐに紹介された論文が掲載されている資料を手配をすることにしました。
▲他校SSH校生徒の研究報告集コーナー
また10月8日の放課後には、夏休みに10日間、日本ユネスコ協会連盟主催の「カンボジア・スタディーツアー」に参加した高校2年生Kさんによる「第1回グローバル・カフェ」が開かれました。前半はカンボジアで遺跡修復の手伝いをしながら関わったカンボジアの大人や子どもたちのとの交流が紹介され、後半は現地で身につけた新聞紙でのバックを、参加した生徒と作るワークショップがおこなわれました。
発表したKさんは「先生になることをめざしていましたが、カンボジアを訪問してみて、世界で大変な思いで暮らしている子どもたちのために働きたいという思いが強くなりました」と、直接途上国の子どもたちとふれあった経験が、将来の夢にも影響をもたらしたことを熱く語っていました。話を聞いていた同世代の生徒にも大いに刺激となったことでしょう。
★ 無料資料の活用
毎月、新着図書を購入しているメディアセンターですが、一方で厳しい財政事情から、授業に活用できるできる無料資料やパンフレット(送料のみ有料の場合もあります)も入手するようにしています。


毎年入手しているのは、「世界子供白書」ユニセフ発行、「世界人口白書」国連人口基金発行、「EFAグローバルモニタリングレポート」ユネスコ発行。(画像左)毎年、それぞれが児童労働や女性の教育、母子保健などテーマを特集し、生徒のレポートにも活用されています。 また、この夏は都内の公共施設を訪れた際に、東京について8か国語(日、英、独、仏、西、伊、中、韓)の無料観光パンフレットと地図(右)を発見!英語の授業で生徒が東京についてまとめていたことを思い出し、すべて1部ずつ鞄に詰め込みました。
また、この他にも著作権情報センターや、私的録音補償金管理協会から、「生徒のための著作権教室」「学校教育と著作権」「教師のための著作権講座」など、司書の仕事でも役立てられる無料の資料を確保しています。なかなか最新のデータも得られて、無料資料、冊子は侮れません。
★ 読書の秋へ
毎月館内ではテーマ展示をしていますが、今月は生徒に人気の「近未来&タイムトラベラー小説」特集をしています。
タイムトラベルのムードが漂うように、モノトーンの「時計」画像をたくさんちりばめた展示にしてみました。忙しい秋の行事や部活の合間に、ぜひ生徒には本を読む時間も確保してほしいものです。


★ 思いがけないGood!
昨日、英語科の外国人講師のC先生がメディアセンターを訪れました。直接話をするのは初めてです。図書館での資料の取り寄せ方や、パソコンの貸出利用についての質問でしたが、去り際に「ここの図書館はいいですね、Good!前の勤務校は館内では一切話すことが許されませんでしたが、こんなに自由に話していいのなら、今度英語の授業をメディアセンターでやりたいです!」とのこと。
賑やかな雰囲気が授業の館内利用につながるなんて・・・司書としては少々複雑なGood!でした。
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡辺 有理子)