今月の学校図書館
こんなことをやっています!
帝京大学メディアライブラリーセンター見学記
2014-11-11 09:51 | by 小野寺(主担) |
♪今月の学校図書館♪
図書館見学に行ってまいりました。見学先は、帝京大学メディアライブラリーセンター。
「共読ライブラリー」という独自の取り組みをおこなっている大学図書館です。
館内施設を見学しながら、その取り組みについて司書の方々から詳しい説明をしていただきました。
◆館内施設と所蔵資料
帝京大学メディアライブラリーセンター(以下、MELIC)は、八王子の豊かな自然に囲まれたキャンパス内に立地し、地下1階、地上4階の全5階建ての独立館です。1~4階は和書、地下1階には洋書を所蔵し、「PCステーション」や「グループ学習室」も併設しています。とくに、「PCステーション」は、学内で学生が自由に利用できる唯一のパソコン施設であるため、多くの利用があり、特にレポートの時期は稼働率が高いそうです。
約71万点の資料(雑誌、新聞、AV資料を含む)を所蔵。新書、資格試験問題集、シラバス、小・中・高校の教科書と指導書や各専攻の基本となる資料を別置した「基本図書コーナー」、教員が講義内で紹介する必読書や参考図書、AV資料などを集めた「指定図書コーナー」が特設されています。
◆「共読ライブラリー」とは
2012年、編集工学研究所(所長:松岡正剛氏)と共同で、「学生の読書意欲を掻き立て、学力の向上と情報編集力の獲得を目指す」全学規模のプロジェクトとして始まったのが「共読ライブラリー」です。


MELICのエントランスを入ってすぐ、来館者の目を引くのが「黒板書架」。黒板塗料を塗ったこのオリジナル書架は、おすすめの本を面出しするだけでなく、メッセージやイラストをチョークで自在に書くことができるようになっています。
これらの書架は「MONDO書架」と呼ばれ、「問い」と「答え」つまり「問答」をコンセプトに設けられています。本の推薦者は司書に限らず、教員や学外のスペシャルゲスト、「共読サポーター」たちで、いろいろな方向から学生たちを本の世界へ誘っているという印象です。
―「共読サポーター」をしている男子学生さんの話―
・もともと本が好きで、司書になることを目指しているが、サポーターになったきっかけは「黒板書架」を初めて見て、その意外性に驚き、やってみたいと思った。
・自分で考えながらコーナーを作っていくのが楽しく、最近は反響も気になるので、時々様子を見に来る。サポーターをしていると、図書館を日常的に利用するので、司書とのつながりができ、図書館の様々なサービスについても知れて、自然と活用できるのがよい。
◆「読書術コースウェアWeb版」
読書の習慣化を目指した取り組み「読書術コースウェアWeb版」。これも「共読ライブラリー」プロジェクトのひとつです。課題図書の新書を読み、Web上で7つのお題に回答しながら、「論理的に考えるコツ」「文章を要約する力」「考え抜く力」などを養っていき、最後はキャッチコピーでその本を表現します。学生は学部または学科単位で参加します。
◆学生の学びを支える大学図書館
学部1年生の必修科目内の1コマで実施している図書館ガイダンス。以前は館内案内ツアーのようなスタイルで行っていたものを、ここ数年は「スカベンジャーハント」というクイズラリー形式に変更。2~3人のグループでラリーに参加し、最高得点のグループには記念撮影と記念品(缶バッジ)の贈呈があります。楽しみながら、大学図書館の利用方法について学べると、学生にも人気があるそうです。
大学図書館は小・中・高校の先にあり、学校図書館とはまた違うアプローチで利用者に働きかけをしていると考えていましたが、「学びを支える図書館」という点では、いずれにも共通しているのかもしれません。けれども、それは同時に、小・中・高校の学校図書館でできることがもっとあるのではないかということを改めて考える機会となりました。
(文責:東京学芸大学附属大泉小学校司書 小野寺愛美)