読書・情報リテラシー

分類を理解し、日常的に学習や読書に役立てる取り組み

2023-05-01 09:09 | by 村上 |

 2022年、ポプラ社より第3版ポプラディアが出版されました。この版には、全ての項目の最後に、該当するNDCが付与されています。これを活かした小学校4年生での実践について、東京都調布市立第二小学校で昨年学校司書をされていた土屋知恵さんに執筆いただきました。教科書単元の目的にも合致し、しかも子どもたちが楽しく取り組み、その後の読書活動に繋げられる素敵な実践です。ワークシートも提供いただきましたので、ぜひご活用ください。(編集部)



分類を理解し、日常的に学習や読書に役立てる取り組み

 4年生は、国語単元『分類をもとに本をみつけよう』を「図書の時間」に分類について理解し、読書や学習に役立てたい」との学年主任の依頼がありました。そこで、児童が、NDC(日本十進分類法)を理解し、ゲーミフィケーションの手法を用いながら、分類を手がかりに、知りたい情報を必要な本を見つけていく取り組みを行いました。

 また、学年から必要な時間を頂けたことで、グループごとに、キーワードを基に、第3版ポプラディア百科事典を引き、その項目に付与された分類記号を基に本をみつけ、情報を情報カードに書き込むといった、「調べ学習」の基礎を同時に身に着けることができました。

 この取り組みで、子どもたちは、個々の興味・関心を引き出し、楽しくわくわくしながら、今まで知りえなかった分野の本を発見して読み、視野を広げ、新たな発見や知識を得られました。


1.ねらい
①日本十進分類法の基礎を学び、分類を学ぶことの大切さを理解する。
②分類を学習や読書習慣に役立てることができる。分類の定着を目指す。
③助け合いながら、学び合うことができる。
④様々な分野の本を知り、情報を得て視野を広げ知識を得ることができる。

2.準備
1)必要なもの
・くじびきBOX
・キーワードシート
・レジュメ(『分類をもとに本を見つけよう』)
・ワークシート (「情報カード」3枚)
・『ポプラディア百科事典』(第三版 全18巻 ポプラ社)
・学校図書館蔵書
・NDCスタンプカード

2)レジュメ及びワークシート作成のポイント
①NDCを理解し、分類記号を手掛かりに本を見つけられるようにする。
②見つけた本を借りて本を読み、視野を広げる。
③ポプラディアで事柄を調べ、ポプラディアに付与された分類記号から、
さらに詳しく知るための本を探し、情報を得る経験ができるようにする。情報収集能力を養う。

3.進め方
導入と第1限
①レジュメを読み、解説を聞いて、日本十進分類法(NDC)の基礎を理解する。
前時に借りた本を返却し、くじをひいて、ひいた分類記号の本を一冊借りる。
(二小は、一回につき一人二冊の貸出ができる。一冊は自由選択。)
②借りた本の分類番号、書名、著者名をワークシートに記入する。
第二限 
本を返却する。簡単に借りた本の感想をワークシートに書き留める。
 第三限
①2~3人で1チーム(ワークシートは一人一枚)

②チームごとに指定されたキーワードをポプラディアでひく

③協力して、ポプラディアから得た情報を書く。

④その情報とポプラディアに付与された分類記号を基に、さらに詳しい内容が載っている本を助け合って見つけ出す。

⑤見つけ出した本からわかった内容を情報カードに書き込む。

⑥さらに、やりたい場合は、キーワードのおかわりをしてもよい。助け合って行うこと。だれか一人が、主導権をにぎるようにしないことを約束とした。

学習後
 ランダムに指定したNDCの本を借りて読むとカードにスタンプを押し、 「もう一冊カード」をプレゼントした。(分類をもとに本を見つける習慣の定着を目ざすため。)

4.所感
①第1限で、基本を学習後、くじびきで本を選び、その本を借りて読むことをみんな楽しんで行っていた。次の時間に「えー!もうできないの?」という子もおり、担任の先生からも「子どもたちがこれほどとは」というほど進んで学習に参加していた。分類を学ぶ導入として大きな好感触を得た。また、この学習によって、分類による蔵書配分が著しく極端であることがわかり、前年秋に赴任した私にとって学校図書館整備の課題の一つを教えてくれた。

②第二限では、百科事典(ポプラディア)から基礎的知識を得て、そこに付与されたNDCから専門書へとたどりつける方法を学べたことは大きい。NDCを基に、専門的な本を選ぶという意識を中学年で持てたことは、今後の情報収集能力を養う上で大きな収穫だったといえよう。

③「NDCから本を読もう」スタンプカードは、児童の要望もあって、この単元で終わる一過性のイベントとせず、NDCの活用を促進するために継続的に行い、他学年の児童にも波及して3学期となった3月末現在も続いている。
そして、会話の中に、「ギリシャ神話?分類1だから三段目の棚だよ」と友達に場所を教え、「3でさ、経済の本だけ読んでないんだよね。」など自然と分類が入った会話が散見され、分類の浸透と定着を実感している。

*ワークシートはこちらからダウンロードできます。

 分類をもとに本を見つけよう.pdf 
 完成形 国語単元4年 分類 シート②.pdf  
 ポプラディア 分類 じょうほう 小学4年生 2022.pdf
   

                     東京都調布市立第二小学校司書 土屋知恵


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