読書・情報リテラシー

高校生のための論理学入門マンガ教材

2012-10-13 17:38 | by 中山(主担) |


                                         国際基督教大学高等学校国語科 仲島ひとみ 


 情報を正しく理解し、また批判的に検証するためには、論理的な考え方が必要です。
与えられた前提から本当にその結論が導かれるのか、問題のある前提は隠されていないか、もっと適切な仮説が考えられるのではないか…そのために、論理学の基礎を学ぶことは非常に有効です。

 論理的文章の読解は教科書でも扱われていますが、学校の中で論理学そのものを学ぶ機会はそれほど多くありません。

そこで出会ったのが
『論理トレーニング101題』(野矢茂樹著・産業図書 2001年)です。
接続詞の使い方から始まって、
論証の構造、演繹と推測といった内容を練習問題つきで学べる、
論理学入門に最適の教材です。

これを授業で使ってみようと思ったものの、高校生にはやや難しい。
取り組みやすくしたい。
というか、例文が面白いのでマンガにしてみたい!(笑)

ということで、『論理トレーニング101題』をもとに作成したのが、
論理学入門用オリジナルマンガ教材それゆけ!論理さん』です。

4コママンガと解説マンガの二本立てになっています。
 (文末に全デ―タをアップしています。)
これを数年前から二年生の現代文(必修2単位)の授業で使用しています。

授業では、まず4コママンガを読んでもらい、
そこで扱われている論理のポイントについて確認します。たとえば、三段論法・逆裏対偶といったこと)

さらにそのポイントに関する解説マンガ(『おしえて!論理さん』)を読んでもらい、
必要に応じて補足します。
最後に練習問題を解き、その解説を行います。
練習問題は、『論理トレーニング101題』にあるものをもとに作成しました。

マンガに対する生徒の反応は上々です。
「かわいい」「面白い」といって喜んで読んでくれています。

しかしそこから論理学の内容に踏み込む部分ではそれなりにハードルがあるように感じます。
特に練習問題を詰めて考えていく場面になると、
「難しい」「わからない」という声を聞くようになります。

グループで説明しあうなどさせて、
ゆっくり咀嚼できる時間を与えたいところです。
ひとつひとつのポイントを理解するまでにも時間がかかるので、
一学期と二学期に分けて行ったこともありました。

現在、この教材は筆者以外の教員も授業で使用してくれています。
「内容は難しいがマンガのおかげでとっつきやすい」という声を聞くこともあり、
うれしいことだと思っています。       


私自身、『論理トレーング101題』を読むことによって、
論理に対する苦手意識を克服できたという体験を持っています。
『それゆけ!論理さん』
高校生のために同じような役割を果たせたら
これ以上の喜びはありません。

この作品の制作と掲載につきましてご快諾くださった
原著者・野矢茂樹先生に心より感謝いたします。
今後、同じ野矢茂樹先生による『入門!論理学』(中公新書 2006年)、
新版論理トレーニング』(産業図書 2006年)などの内容も取り入れながら、
より充実させていきたいと考えております。
       
      『それゆけ!論理さん』漫画教材 は,以下をご参照ください。
    
     http://www.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/archive/ronri.pdf
  (ここでの奥付は2007年4月となっておりますが、
   2006年6月が初版初刷であったことをお知らせいたします。)


  
           (国際基督教大学高等学校国語科教諭 仲島ひとみ)
 


※ここで紹介したマンガ教材『それゆけ!論理さん』は、授業等でお使いいただいてかまいません。
 ぜひフィードバックをお寄せください。  
  メールアドレス h.nakajima.kicu-h.ed.jp (★を@に変えてください。)

 2018年10月31日編集部追記
 筑摩書房から『大人のための学習マンガ それゆけ!論理さん』(仲島ひとみ著 野矢茂樹監修 20018年10月31日)が出版されました。おめでとうございます! みなさん、ぜひともそちらもご参照ください。

   編集部より 
 仲島ひとみさんの講演会報告はこちらをどうぞ。『それゆけ!論理さん』(筑摩書房)国語科と論理の学び - 授業に役立つ学校図書館活用データベース (u-gakugei.ac.jp)

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