読書・情報リテラシー
レオ・レオニさんの本はどこ?
2013-05-06 16:41 | by 中山(主担) |
2年間一緒に生活してきた子どもたちとの最後の国語教材。自分たちだけで話し合って、どれだけ課題を解決していくかをやってみたくて、あえて担任のがっちりした単元計画を作成せずにやってみました。ただ、以下の3点については、毎時同じように行っていきました。
①教科書の指導書に書かれているように、場面ごとに読む。
②私が、子どもが行間にメモができるように、隙間を作った全文プリントを用意し、気になったことば・せりふ・登場人物のつぶやきを、その行間に子どもたちはどんどんメモしていく。
③どんなメモをしたのかを発表し、子どもたちの考えを私が板書。その板書をもとに、子どもたちは議論していく。
写真は、第1場面についてです。アレクサンダのつぶやきを、子どもたちはどんどん創造していきました。(黄色の文字)。
「1つ2つのパンくずだけをもらうだけなのに、人間に見つかると大変。」「アレクサンダは、いのちがけで毎日を過ごしているんだよ!」と、まるでアレクサンダのように、アレクサンダを知っているかのように、必死の形相で話し合っていました。
読みを進めているうちに、ある女の子が、レオ・レオニの作風について気になり始めました。
「あのさ、レオ・レオニさんって、友情モノを書くのが好きなんじゃないの?」
「なんで?」
「だって、登場人物は全く違うけど、『スイミー』に話の内容が似ているよ。」
ちょうどそのとき、クラスの男の子が、家から「レオ・レオニさんの絵本だよ。」と持ってきた『6わのからす』があったので、それをクラスで読み聞かせをしました。
「一度、仲間割れとか、そういう悲しい話になるんだけど、最後はみんなで協力することが多いよね。」
「他の本も、そうなんじゃないのかな?」
いつもは外遊びをする男の子たちが、図書館へ集結。5~6人で群がって読んでいたようで、絵本をビリと破るハプニングもありましたっけ。
みんなが読めるといいなあということで、クラス貸し出しを中山先生お願いしました。何冊か比べて読めるようにと、2時間ほど、レオ・レオニの絵本を読む時間を取りました。
「やっぱ、似てるよ。」
「っていうか、レオ・レオニさんの絵本は、谷川俊太郎さんが訳しているよ。」
「他の人が訳した作品もあってけど、ちょっと違う感じがする。」
「谷川さんが訳した本は、似たようなことばが出てくるね。」
なんでレオ・レオニさんは、谷川さんに訳を頼んだのかな?」
「月が出てくることが多いんだよ、レオ・レオニさんの作品は。」
「他にも、レオ・レオニさん以外でも『月』が出ている本があるよ。」
「ボク、明日家から持ってくるよ。」
「わたしも~。」
その次の時間は、「月」が出てくる本の紹介となりました。
・かぐや姫
・ねえパパ、あのお月様とって
などなど。
はじめは、アレクサンダとウイリーの気持ちを想像していくだけだったのに、ここまで自分たちで広げていった子どもたちに、2年間の成長を感じました。また、「なぜここまで、アレクサンダのために熱く語ることができるんだ?」「レオ・レオニさんの本を、ここまでじっくり読む人もいないだろう。」と、逆に驚かされた単元でした。
一人の作者の作品を、シリーズで読み進めていく楽しさも実感したようなので、「先生も、そうやって一人の作者の本を読むのが好きなのよ。東野圭吾さんとかね。」と話しました。
( 元 東京学芸大学附属小金井小学校教諭 大久保 綾夏)