授業と学校図書館
授業で役立つ活用事例を「先生のひとこと」として紹介します。
先生のひとこと
番外編 子どもたちから愛される学校図書館に変貌!
2013-06-09 17:45 | by 村上 |
アメリカ・ワシントン在住の青木江里子さんからサイトにご連絡をいただきました。小学校1年生の息子さんが通うスティルウォーター小学校でボランティアをしていらっしゃる青木さんは、ご自分が昔生徒だった頃の学校図書館とは全く違う学校図書館の姿に新鮮な驚きを感じたそうです。子どもたちは「図書館は楽しい」と声を揃えます。
Q.スティルウォーター小学校で、このような学校図書館の取り組みが始まったのはいつごろからなのでしょうか?
Q.そのきっかけとなるようなことがあったのですか?
―以前の図書館が大嫌いだったからだそうです。
Qロバーツさんはどのような資格のもとで働いていらっしゃるのでしょうか?
―アメリカでは、学校図書館司書の資格は教員の免許に合わせて、さらに図書館を運営する知識を大学のコースでとった人がやれるそうです。ロバーツさんの場合は最初の10年を英語教師などとして働き、ワシントン大学でカリキュラム教育やリーダーシップのコースを学びながら、教育委員会で働き、その後スティルウォーター小学校に赴任されました。ここが2回目の学校図書館司書の仕事だそうです。
Q.図書館の運営方針・および選書は誰が責任をもって行っているのでしょうか?
―司書のロバーツさんが一人で決めていますが、彼女の仕事ぶりは毎年校長先生の査定を受けています。本の選定はアメリカやワシントン州の教育省が推薦図書の一覧を毎年作成しており、それを基に行っています。また父兄が図書館に設けてもらいたい本をリクエストしたり、逆に図書館に置いて欲しくない本を指摘することもできます。その際はしかるべきプロセスを経て本の選択、削除を行うそうです。
Q3日に1度ある40分程度の図書の時間は、担任の先生も一緒に関わるのでしょうか?
Q.ボランティアの組織作りやとりまとめ役の存在、また組織の維持の方法は?
―.取りまとめ役は存在していません。しかしロバーツさんは、ボランティアの組織作りが今後の課題だと言っています。現状は各ボランティアの自己責任と奉仕の精神で自由に活動に参加しています。ボランティアは強制されることなく自分の空いた時間にできることを率先してやっているといった感じです。
Q.デジタル化の波は、スティルウォーター小学校では図書館や読書になにか影響や変化をもたらしているのでしょうか?
Q.図書館は、学校の通常の授業のなかでは、どのような役割を果たしていますか?
―図書館での教育は今のところ通常の授業と離れて行われています。課題解決に図書館を利用すると言うことはありませんが、ロバーツさんがクラスのカリキュラムを事前に知り、授業で役立つだろうと思われる本を教室に持って行ったりしています。
Q.PTAが「優れた教育者」の賞は、スティルウォーター小学校独特の制度でしょうか?また保護者のボランティア活動は、自分にできることを誰でも行っているのでしょうか?それとも、特定の方々に限定されるのでしょうか?
―アメリカ社会は社会に貢献している人や、能力のある人を大いに称える風潮が強いと思われます。学校関係だけでなく、小売店などでも毎月優秀な社員を表彰しています。アメリカでは学校でのPTAの役割がとても強く、先生方と父兄とが同じレベルでお互いに協力し合っています。PTAがよりよい学校にするために、精力的にファンドレージング(資金集めの活動)を行いそのお金で、美術や科学の授業を増やしたり、図書館の本の購入に当てたり、校庭の遊具を新調したりしています。一般的にPTAが活発な学校は質の高い学校だと見られています。
ボランティア活動は自分ができることを進んでやる、といった姿勢で強制されることはありません。成人であり、教育委員会が定める書類を提出し認められれば、父兄でなくてもボランティアをすることができます。図書館で働くボランティアに話を聞くと、一様に学校の図書館とロバーツさんが好きだからやっていると答えが返ってきます。私も本が好きで、子供たちや他の保護者と関わることができるので、ボランティアを楽しくやっているといった感じです。(写真中央が、Librarian Specialistのロバーツさん、左端がレポートを寄せてくださった青木さんです。)
Q 最後に、青木さんが今、アメリカにいて、日本の学校図書館を思い起こし、日本でも、あの取り組みは良かった・・・と思いだすことはありますか?
遠いアメリカから、このようなやりとりができるのも、まさに今の時代ならでは!ですね。アメリカでも、学校図書館事情は、学校によってずいぶん違うということですね。でもどこでもやる気のある人たちのチカラで、どんどん変わっていくのは同じかもしれません。青木さん、ありがとうございました。
(文責 東京学芸大学附属世田谷中学校 村上恭子)