司書研修の報告
司書研修の報告
No.1 学校図書館入門講座Ver.8;使える学校図書館を作ろう
2017-12-06 14:24 | by 小野寺(主担) |
平成29年度東京学芸大学公開講座
「学校図書館入門講座Ver.8;使える学校図書館を作ろう」
□ 平成29年6月10日(土)10時~16時
□ 東京学芸大学附属小金井小学校 なでしこ図書館
(参加者53名)
【1-C 学校図書館活動概論 / 3-C 読書推進活動論】
●学校司書の仕事 入門編 「どうやって学校図書館を作ってきたか?」
講師:附属世田谷小学校 司書 金澤磨樹子
学校図書館をどのように作ってきたか。自主保育時代の学びを原点とし、公立小学校で17年間勤務してきた司書がその経験と実践から、学校司書としての心構えや必要なことを伝えた。
1校目は司書教諭と協働して、全校で読書に力を入れた取り組みをおこなってきた。国語科の校内研究をおこなっていたことも大きかったと思う。2校目では、それまでの経験を生かしながら、様々な読書活動や調べ学習の支援に力を注いできた。そのなかで、司書としてどんな学校図書館にしたいのか、具体的なイメージを持ち、それを伝えるための自分のことばを持つことがとても大切だと気づいた。司書として自らの学ぶ機会を増やすことの必要性も実感し、読書会や研究会へ積極的に参加をしてきた。
【3-C 読書推進活動論】
●ミニおはなし会
1.とりのみじい 松岡みどり(附属小金井小学校 司書)
『日本昔話百選』 稲田浩二・稲田和子編著/三省堂
2.なによりすてきなおくりもの 田沼恵美子(附属特別支援学校 司書)
『十月のみずうみ』 シンシア・ライラント作/偕成社
3.これはジャックのたてた家 田沼恵美子(附属特別支援学校 司書)
『マザー・グース・ベスト1』 谷川俊太郎訳/思草社
素話を通して、子どもへの直接的なアプローチ方法を体感した。3はマザー・グースの詩をパネルシアター化したもの。中学校の英語の授業で好評を得てきたそうだ。
【3-A 学校教育概論・教育方法論】
●学校司書のための教育学
「開かれた学校づくりと図書館 地域で子どもを育てるとは」
講師:東京学芸大学 准教授 柴田彩千子氏
学校図書館入門講座Ver.8 開かれた学校づくりと図書館・地域で子どもを育てるとは.pptx
文科省が「チーム学校」という新たな政策を掲げているように、これからの社会では学校と地域社会をつなぐ学社連携が注目されていく。新学習指導要領のテーマも、「ひらかれた教育課程の推進」である。社会総がかりで子どもを育てていく時代に、学校や図書館は社会からどのような支援を受け、また社会へどのような支援をしていくことができるのだろうか。
地域社会から学校への支援として、学校運営協議会制度と地域運営学校(コミュニティ・スクール)の紹介があった。コミュニティ・スクールでは、学校運営協議会の方針が学校経営に大きな影響力をもつため、たとえば読書活動の充実を図る活動を学校全体の取り組みとすることも可能になる。また、学校運営協議会委員であるボランティアの存在は、子どもにとってナナメの関係にいる「おとな」であり、身近な職業人・社会人として子どもの職業観や勤労観を養う機会となり、子どもの自己肯定感を高める存在にもなり得る。これは、学校司書にも共通する視点だろう。
〈グループディスカッション〉
テーマ① 働くことの楽しさ、仕事のやりがいや苦労を子どもたちにどのように伝えていくか?
・直接子どもと関われることにやりがいを感じる。
・図書館に人がいること、司書の役割を認識してもらえるようにPRしているがなかなかうまく伝えらない。
とくに、先生に理解してもらいたい。
・仕事のよろこびを生徒に伝えられるのは、生徒と本をつなげたとき、問題を抱えた生徒を司書としての
立場だからこそ理解できたとき。自立できる職業として成り立っていない以上、現段階では生徒に推薦
できる仕事ではないという現実的な厳しさもある。
テーマ② 学校司書が力を発揮できるために、学校側に望むことはなんですか?
・校内の情報を相互に共有したいので、打ち合わせや職員会議などに参加できるとよい。
・相談窓口がはっきりするとよい。
・今、何を学習中かを早めに知りたいので、教科の年間指導計画がほしい。
・図書館授業は司書に丸投げせずに教員として関わってほしい。
・十分な図書館支援をするための勤務形態を整えてほしい。
●おわりのことば 東京学芸大学 准教授 前田稔
知識基盤社会では概念的知識を高め、深めていくことが大切である。だからこそ、子どもたちが十進分類法によって概念がわかりやすく整理された図書館という空間自体に入ることに意味がある。今後、司書に期待される役割は大きくなるだろう。