読書・情報リテラシー

小学生が大学附属図書館に行ってみました!

2014-02-20 14:52 | by 中山(主担) |

                                        東京学芸大学附属小金井小学校司書 中山美由紀

 2014年2月20日(木) 東京学芸大学附属小金井小学校 6年1組が図書の時間に
横須賀恵教諭(音楽科)の提案で、
大学附属図書館の2階参考図書と雑誌コーナーの見学に行ってきました。



附属図書館では、情報リテラシー担当の高橋隆一郎係長が出迎え、案内してくれました。

参考図書とは「調べるための本」だったねと私の方から復習をし、
気にいった参考図書のタイトル、驚きのタイトルを、NDCとともに、
メモするコメントシートを受け取ってから、館内に入りました。

雑誌コーナーでは、書店でも公共図書館でも見ることがないような雑誌に
声にはださねど歓声が沸いた様子の子どもたち、
引出しにしまわれている1枚1枚の詳細な地図に感動し、
お目当ての参考図書のコーナーでは、専門的なタイトルが並び、へぇ、おもしろいとつぶやきつつ棚をまわったあと、
『ニューグローヴ 世界音楽大事典』21巻 別巻2巻 (講談社 1993―1995年)を 持って
3階 会議室へ。

そこで、横須賀教諭から演習問題が出されました。
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みんなが演奏した『木星』という曲ですが、
附属小金井小の百科事典で「木星」と引いても、太陽系の惑星で…という天文のことしか
載っていませんね。
音楽の『木星』について調べようと思ったら、こういう音楽専門の事典があります。
作曲者は? そう、ホルストです。
『木星』がはいった 組曲の名前は? そう、『惑星』ですね。
では 次の2題について、だれか挑戦してみませんか?

1.『惑星』を書いたのはいつ?ホルストが何歳のころ?
2.ホルストが一番すぐれた楽章だと思っていたのは?

なんていう言葉で引きますか?代表以外の皆さんも、引いてみようとおもう言葉を
コメントシートの裏にいくつか書いてみてください。

「木星」項目がないですね。「惑星」もないです。
作曲者?「ヘンリー・ホルスト」ですか? ホルストは何人かいますよ。
……探しているのは「グスターヴ・ホルスト」です。

ここを読むとどれも答えがでできますね。
観客には本人のお気に入りとは違って『海王星』が人気だったとも出ています。

さて集合時間は、玄関に2時ちょうどでよいと川上先生から許可をいただきました。
あと13分、静かにいられる人は2階を自由に見てきて構いません。
勉強している大学生がいますからね、しゃべったら退場ですよ。
では、自由行動にします。





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―担任 川上真哉教諭より―
こんな本もあるのかといった、子供たちの驚きを、
無言で食い入るように読んでいた様子から感じました。
日本の本の底力?出版力? 日本人の知に対する驚きが
子供たちを夢中にさせたと思います。

―子どもの感想から―
「本の国」
 今日は図書の時間で大学の図書館で参考図書を見ました。最初はみんなでまわってみました。参考図書には、教育やスポーツ、音楽、理科などなど、たくさんの種類がありました。最後の自由行動の時、クラシックの作曲家の「ショパン」についてしりたかったので、調べてみました。私が手に取った本には作曲者が五十音順に並んでいて、「ショパン」のページを開くと作曲者の説明と作品がたくさん載っていました。本があまり好きでない私でも、心の中は興奮していました。
 今回の見学では、ふだん見ない本にふれることができ、本の国にいるようでした。機会があれば、大学の図書館にも足を運んでみようかなと思います。

「参考図書」
 今日の5時間目に大学の図書館に行った。見渡す限り本に埋めつくされるうれしさが感じられた。地形図や雑誌、事典や辞典がところせましと並んでいる。そこでみつけた本の例を出したい。
 1.『ロンドン事典』 2.『スパイス事典』 3.『漢詩大観』 4.『日本官僚制総合事典』 などなどだ。特に『漢詩大観』は歴史の年月を経過を思わせる本で印象深い。
 小学校の図書館にもたくさん本はあるが、それとは比べようがない。早く大学生になって、難しい本も読んでみたい。

―横須賀 恵教諭 より―
 辞(事)典の棚を順番に見て回っているとき、子どもたちがとてもワクワクしながら見ている様子が印象的でした。自分の興味がある分野の棚が近づくと「キター!!」と喜んでいる子どもを見て嬉しくなりました。
 最後のフリータイムでは、子どもたちが自分の興味がある本を読みふけっており、時間になってもなかなか本を戻そうとしない、もっと読んでいたいという気持ちが伝わってきました。子どもが選んでいた本は、私にとっては非常に興味深く、こんな本があったんだ!と私自身も驚きや発見がたくさんあった1時間でした。
 これをきっかけに、子どもたちが参考図書へ関心を持ち、自分の興味のある分野を探究していってくれたら嬉しいです。


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 大小様々な図書館を見慣れていた私にとって、
専門分野の参考図書がずらりと並ぶ棚は、当たり前の何でもない風景で、
こんなにも6年生を魅了させるとは、まったくもって気づいていていませんでした。
ネットで疑問を解決できることも増えつつある世の中ですが、
編集され、限定されたアナログのよさ、本という厚みと重さを持った知の集積を感じることができたと思います。
音楽という専門性をもって発案してくださった横須賀教諭には心より感謝する次第です。

                       東京学芸大学附属小金井小学校司書 中山美由紀

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