今月の学校図書館

こんなことをやっています！

東京都私立成蹊小学校図書室

2018-01-15 18:30 | by 小野寺(主担) |

今月の学校図書館は、私立成蹊小学校です。
2015年度より、専任の司書教諭と学校司書の二名体制で図書館を運営することになり、
図書館活動の幅が広がったそうです。
その様子を、司書教諭の関口薫さんと学校司書の大森恵子さんにご寄稿いただきました。

１．概要

　
　成蹊小学校は、2015年に創立百周年を迎えました。武蔵野の自然豊かな環境にあり、703人の児童（*）が、感性豊かにのびのびと学んでいます（*2017.12.1現在）。校名の「成蹊」は、古代中国の歴史書『史記』の一節「桃李不言下自成蹊―桃李ものいはざれども下おのづから蹊（こみち）を成す」に由来します。桃や李は何も言わないけれども、美しい花や美味しい実にひかれて人は集まり、樹木の下には自然と道ができるという意味であり、本校の人格教育を象徴しています。

　
　図書室は、教室のある建物「本館」の１階に
位置します。６教室分（約325㎡）の広さがあるガラス張りの明るい空間は、一部、２階までの吹き抜けとなっており、中２階にはPCコーナーも有しています。所蔵冊数は約３万冊。
朝８時から夕方４時まで開館しており、児童は始業前から放課後下校するまで、いつでも図書室を利用することができます。休み時間には思い思いに読書を楽しむ姿が見られます。

２．恵まれた環境の中で～本があり、人がいてできること～

　
　本校図書室は、2015年度より専任司書教諭と学校司書の二名体制で運営しています。一人職場の代名詞ともいえる学校図書館を二名で運営することができるようになり、図書館活動の幅が広がりました。今回は読書の側面からご紹介します。

●本に親しむための図書館活動

　
　図書室の顔ともいえる入口では、毎年テーマを決めて企画を行っています。月替わりの展示もよいのですが、じっくり本に取り組んでもらいたいと思い、１年を通してテーマを設定することにしました。今年度は「ゆかいで　たのしい　ぼくのともだち」と題して、『くまのプーさん』を読んでいます。毎月１章ずつ読みすすめ、クイズに答えます。１話はそれほど長くないので、休み時間に友達と読みあったり、おうちで読んでもらったりと、１年生から参加してくれています。

　子どもたちも負けていません。図書室だよりで、
「ぼくの　わたしの　〇〇書店　図書室のテーブル貸します　みんなに本を紹介しませんか」と募集したところ、11組21名の応募がありました。１組２週間ずつの展示です。私達からアドバイスを受けつつ、書店の名前を決め、本を選び、ポップを書き、ディスプレイを考えます。開店してみると予想以上に好評で、「私もやりたい。」との声が多く、来年度も継続する予定です。

●ひとりよみのサポート

　
　絵本から幼年文学へ、ひとりよみへの移行がスムーズに行えるよう、段階をおって本を読み進めていくことができるような導線を作りました。それぞれのコーナーは、読書の授業での本選びにも役立っています。

□ 本の庭 ― 本との出会い　

　図書室の外、１年生の教室に面している場所に図書コーナー「本の庭」があります。１年生が図書室の本と最初に出合う場所なので、長く読み継がれてきた絵本を中心に配しました。入学間もない子どもたちが慣れ親しんだ本も多く、いつもにぎわっています。

□ ひとりよみ　はじめのいっぽ（ホップ）― まずはここから
　ここには、「読み聞かせ」から「ひとりよみ」への橋渡しとなる本を集めています。１年生は、まずこのコーナーの本をひとりでしっかり読むことからはじめます。ここから選んだ50さつリストを読み終えた子には、素敵な儀式が待っています。各クラスのガラスびんにビー玉を入れるのですが、この時の子どもたちは誇らしげです。