読書・情報リテラシー

図書館オリエンテーション(小学校)

2016-03-18 11:40 | by 吉岡(主担) |

2月に、小学校の図書館のオリエンテーションで紹介する本についての原稿依頼をうけました。
そこでこんな風に4月当初に行っていることを書きました。

小学校の図書館で行うオリエンテーション

     吉岡 裕子(東京学芸大学附属世田谷小学校)


 小学校は、基本的なことを学び、身につけるだい

じな役目を持っていると思います。

その例に漏れず、図書館の使い方の基本を身につけて、図書館が上手に使える名人になってほしいと常々願っています。

図書館が使えるためには様々な工夫をしていますが、その一つが毎年、年度初めに行うオリエンテーションです。

4月、新学期が始まると間もなく、学校図書館のオリエンテーションを行っています。

それは図書の時間に行うのですが、2年生から6年生まで、少しずつバージョンアップしたものを行っています。

オリエンテーションでは、各学年用のパワーポイントを使って説明をしています。以前はプリントを配っていましたが、しょっちゅう忘れていったり、なくしたりしていました。毎年覚えてほしい必要なことは繰り返して伝えるので、パワーポイントで充分対応できていると思います。

2年生のオリエンテーションの様子〕

2年生には、まず類の話をします。これまでにも、だいたいは分かっていて、自分で表示を見ながら、本を探すことが出来るようになっていますが、あらためて、ラベルの大きい数字は色別になっていて0から9までわけられていることを確認します。

「これは本の住所のようなものなので間違えるとたいへんです。みんなのお家にちゃんと郵便物が届くように、間違えたところに本を置いてしまうと、探せなくなってしまいます。」という話をします。その後、本の読み聞かせを行います。『としょかんへいくピープちゃん』クレシッダ・コーウェル作/佐藤見果夢 訳(評論社)『ビバリーとしょかんへいく』アレクサンダー・スタッドラー作/まえざわあきえ訳(文化出版局)『がちょうのペチューニア』ロジャー・デュボアザン作/松岡享子訳(冨山房)『としょかんライオン』ミシェル・ヌードセン作/ケビン・ホークス絵/橋本友美子訳(岩崎書店)『コアラとお花』メアリー・マーフィー作/ひだみよこ訳(ポプラ社)などです。

これらの本の中から2冊の読み聞かせを行います。『としょかんへいくピープちゃん』は、ヒツジを探すのに、料理の本?それとも事件?小説?科学?と、ヒツジの何を探すかによって図書館のどこへ行ったらいいか、本の内容で分類されていることが分かる絵本です。『ビバリーとしょかんへいく』は、借りてきた本がおもしろくてうっかり返却期限が過ぎてしまってどうしようと悩む女の子の話です。牢屋に入れられるかな?高い罰金を払わされるか?とびくびくして返しに行くお話です。『がちょうのペチューニア』は、ペチューニアが本を拾いました。そういえば、本を持ちそれに親しむものはかしこくなるっていっていたことを思い出し、自分はかしこくなったと思い、どこにでも本を持ち歩きます。ところが、本はもっているだけではだめだということに気がつくお話です。『としょかんライオン』は、中学などでも購入されている学校が多いのでご存じの方も多いと思います。図書館は来る人を拒まずだれでも受け入れてくれる所だというおはなしです。そして、『コアラとお花』は残念ながら現在絶版です。コアラがだいじな花を枯らしてしまいました。だれに聞いたらいいかと思いロバに相談しました。ロバはコアラを図書館に連れて行ってくれました。コアラは、分からないことはここで調べることが出来ることが分かりました。

どの本も、それぞれオリエンテーション向きだと思っています。

 高学年のオリエンテーションでは、分類のことを詳しく説明します。その時、日本十進分類法が出来た経緯を話し、デューイ十進分類法のことを示し、この体系をもとにして作られた話をします。高学年のオリエンテーションでは『図書館ねこデューイ』ヴィッキー・マイロン著/羽田詩津子訳/早川書房(又は『図書館ねこデューイ』角川つばさ文庫 ヴィッキー・マイロン著/岡田好恵・霜田あゆ美訳/角川書店)のあらすじを話し、紹介します。

アメリカ、アイオワ州の小さな町スペンサーの公共図書館で飼われていた1匹のねこ「デューイ・リードモア・ブックス(DeweyReadmoreBooks)」の生涯の物語です。このネコは度々マスコミで取り上げられました。デューイは、厳寒の朝ブックポストから聞こえてくるネコの声に気がついて開けてみると、子ネコが捨てられていました。そのネコにデューイという名前をつけて図書館で飼うようになりました。毎朝、開館する時に入り口でデューイは待っています。その後は自分の好きな場所で寝ているという生活をしていたようです。そんな話をしたからでしょうか、この本はこの日以来、良く借りられますし、予約までして借りていく子どももいます。

本校の図書館では、色々な場面で本を紹介しますが、オリエンテーションは、毎年こんな本を使っています。

 


「学図研ニュース」No.360 2016.2.1号(学校図書館問題研究会・発行)に
掲載した文章を、学校図書館問題研究会の承諾を得て転載しました。

                              東京学芸大学附属世田谷小学校    吉岡 裕子

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