読書・情報リテラシー
オリエンテーションで簡単ブックトーク
2016-05-08 15:58 | by 井谷(主担) |
はじめは中学1年生だけに行っていた新学期の図書館オリエンテーション。
2,3年生にも学年集会で少し時間をもらう所から始まって、次は1クラス25分ずつと段々グレードアップし、2年前からは全学年1クラス1時間ずつを確保できるようになりました。司書教諭と司書2人で試行錯誤を経て、ようやく3年分のオリエンテーションの形がほぼ固まってきたので、紹介します。
1年生には、図書館の使い方、分類、情報収集の仕方についてプリントを使って説明した後、2人ずつチームになって図書館クイズ。答え合わせには担任の先生にも協力して頂きます。
1年生用オリエン2016.doc
1年図書館クイズ2016.doc
2年生には、前年度の内容を復習する意味で「図書館検定」を受けてもらいます。出典を書き出す問題では、今現在2年生が取り組んでいる秩父長瀞修学旅行事前学習に関する「地学」の本や、秩父市HPから出題しました。
小金井中図書館検定2016.pdf
2年生用オリエンテーション2016.pdf
そして3年生。出典を書く練習には、今度は奈良京都修学旅行関係の本とHPから出題。
3年生用オリエン2016.doc
さらに分類を意識し視点を広げるために、修学旅行事前学習に関わる本で、0~9類まで10冊の本を紹介してみました。
3年修学旅行のテーマは「人と文化」。
奈良時代の歴史・人物・寺院・仏像・万葉集の中から、研究するテーマを選びます。そのため、生徒たちは2・5・7・9類の棚にしか目が行っていませんでした。図書館にはこんな本もあるということを知ってほしくて、このように紹介してみました。
まず、0類の百科事典で「法隆寺」全体についておおざっぱに調べてみましょう。
『ポプラディア』ポプラ社 2002.3
で「法隆寺」をひくと、いつ頃、誰が、どこに建立したなどと書いてあります。
さらに読み進めると、「法隆寺式伽藍配置」という言葉が出てきました。
さて、「伽藍」って、いったい何でしょう?
普通の辞書で調べてみてもいいけれど、どうもこれは仏教用語じゃないか・・・と思ったら、
1類の宗教の棚にこんな本がありました。
『仏教用語の基礎知識』 山折 哲雄 角川選書 2000,6
索引で「伽藍」を引いて見てみると、
「元は僧侶たちが集う場を言ったが、次第に寺院の建物群を総称するようになった・・・」と、出てきました。
2類は、地理・歴史なので、関係する書物はたくさんあります。自分の調べることにあわせて見てもらうといいと思いますが、中にはこんな本もあるんですよ。
『チャレンジ奈良検定』 朝日新聞奈良支局 2009、11
過去の奈良通1級の問題を1つ、読んでみますね。
○薬師如来は一般に薬壺を持っているが、古くは薬壺を持たない像も多い。次のうち薬壺を持つ薬師如来像が祀られている仏殿はどれか。
ア.新薬師寺本堂像イ.薬師寺金堂像ウ.唐招提寺金堂像エ.法隆寺金堂像
今、即答できる人はいますか?もちろん、ここで解答を教えることはできますが、
これはみんな、修学旅行で皆さんが行くところばかりですよね?ぜひ、現地で正解を見つけてきて下さい。
では、3類の社会科学です。
『伝承写真館 日本の食文化8 近畿』農文協 2006.7
という本に、こんな興味深い記事を見つけました。
「奈良県の長屋王の遺跡から、たくさんの木簡がみつかった。そこには、現在の納品書や領収書にあたる内容が書かれていて、当時の人々がどんなものを食べていたのかがわかる。」という物です。当時の貴族は、白米や干し肉も食べていたようですよ。
4類はいくらなんでも関係ないと思ってはいませんか?
47の植物の棚に、こんな本があります。
『万葉歌とめぐる野歩き植物ガイド』山田 隆彦・山津 京子 太郎次郎社エディターズ 2013.4
基本は植物図鑑ですから、植物の写真と説明が書かれています。季節ごとに3冊に分かれていて、さらに万葉集に出てくる歌も書いてあるので、万葉集を研究している人は要チェックですよ。
では、5類です。51は建築の棚なので、もちろんずばり「法隆寺の建築」だけの本もありますが、ちょっと見方を変えて、こんな本はどうでしょう。
『建築構造のしくみ 力の流れとかたち 第2版』川口 衛 ほか 彰国社 2014.6
世界の様々な建物と共に、法隆寺もでてきます。構造力学の視点から他の国の建築物と比べてみるのも1つの方法ですね。
6類は産業ですが、その中で67は広告や宣伝についての本が並んでいます。
みんな、こんなコマーシャルを見たことありませんか?
♪♪(ハミング)♪♪・・・そうだ京都、行こう。
(ハミング部分で生徒たちに、ニヤニヤ、失笑、温かい微笑みなど様々な反応がありました。)
これは、そんなCMのキャッチコピーと写真を、20年分集めた物です。
『「そうだ 京都、行こう」の20年』 ウエッジ編 ウエッジ 2014.9
皆さんが修学旅行で行くところでは、天龍寺が載っています。
「長い争いの時代を変えたい、と 植えられた桜でした」というコピーがついています。
同じJR東海の『「うましうるわし奈良」の10年』という本もあります。こちらの方が今回訪問する場所が多いかもしれませんね。
7類は芸術ですから、寺院、仏像関係の本はたくさんそろっています。
みんな大好き阿修羅くんの、こんな本もありますよ。
『もっと知りたい興福寺の仏たち』金子 啓明 東京美術 2009.3
8類は言語ですね。
『かわいい方言手帖』 ふるさとナマリ研究会 2005.9 河出書房新社
挨拶や日常会話を、日本全国の方言で表現しています。事前学習には直接はつながらないかもしれませんが、少し知っていると、旅行が楽しくなるかもしれませんね。
(この本は、並べて写真を撮る前に、生徒に借りられてしまいました。写っていないのはそのためです。)
最後に9類です。実は本校には50冊以上の万葉集関係の本があるので、あとでよく見てもらいたいと思います。さらに、本ではなく、DVDもあります。
『中西進の万葉こころ旅』 奈良テレビ放送 2005
これは、奈良テレビで以前放映した1回3分ほどの番組をまとめた物だそうです。
シリーズ2巻目の第1話のテーマが「明日香風」。そう、もちろん今皆さんが合唱の練習をしている志貴皇子のうた
「采女の袖吹きかへす明日香風 都を遠み いたづらに吹く」です。
行く前に見ると現地で感動が無くなるといけないので、帰ってきてからまとめの段階で復習に見るのもいいかもしれませんね。
以上、0~9類で1冊ずつ紹介してみました。他にも棚を見て探してみて下さい。
このように10分程度、本の紹介をしたところ、今年は例年になく奈良関連の本が動きました。見事、作戦成功!と、ほくそ笑んでいます。