読書・情報リテラシー

「新聞のことをもっと知ろう!」

2017-08-01 10:46 | by 村上 |

 今回は、長野県飯田市立川路小学校司書、宮澤優子さんに、6年生の国語の授業で、新聞について学習した実践を寄稿していただきました。


 4年生の国語で新聞を作る単元があります。その単元の中で新聞の特徴や大まかな作りを学習しますが、6年生はさらに踏み込んで「調べるための道具としての新聞」に迫りたいと思います。

①第一時 新聞の作りについて知ろう!

 まず新聞の実物を見ながら、班ごとに4年生での既習事項を確認します。「新聞名」「発効日」「新聞社」などを復習した後、新聞の1ページ目(1面)がどこであるのかを考えてもらいます。さらに、その1ページ目に書いてあるのがその新聞にとってどういう扱いの記事であるかを考えました。(=トップ記事)
 また、同日発行の地元のローカル新聞と地方紙・全国紙を班ごと数セット準備して比較してもらい、違いを見つけました。同じ日の新聞なのにローカル新聞はより地域に密着した記事が多く、全国紙になると国全体にかかわる大きなニュースなどが扱われることがわかります。ローカル新聞と全国紙のトップ記事が同じなら地元でそれだけ大きな出来事があった、と取れることに気が付いた児童もいました。新聞の厚さ自体の違いから扱っている情報量の違いも分かります。

②第二時 さらに詳しく新聞の作りを知って、新聞から情報を読み取るときのコツを知ろう!

 新聞協会のNIE推進のためのHP等に準備されている紙面構成例を参考に、4年生での既習事項より少し詳しく学習します。「題字」「題字下」「見出し」「リード文」「コラム」「社説」などを、実物で確認しながら進めます。
 記事の大まかな内容がつかめる「リード文」について説明をしますと、百科事典の使い方の学習の中で習った「定義」の部分と似ているね?という声が上がりました。ここを読めば忙しいときにも大体内容がわかる!全部読むと難しくても、ここだけ何とか頑張れば書いてあることがつかめる!というような意見が子どもたちから飛び出しました。
 また、中学生になるといろいろな使われ方をする「社説」と「コラム」について紹介し、新聞社としての考えを書いた「社説」を読み比べると各社の考え方の違いがわかるということや、「コラム」は新聞社ではなくそれを書いた記者の考えが反映されているという説明をしました。


③第三時 同じニュースを扱った新聞を見比べて考えよう!
 アメリカ・オバマ大統領の広島訪問がトップ記事になった2016年5月28日の新聞各紙のトップ記事を見比べて、感じたこと、分かったことを出してもらいました。これは、元学芸大学附属小金井小学校・司書の中山美由紀先生の取り組みからヒントをいただきました。
 まずは大きく写真が出ていましたので、写真を見比べた子が多かったようです。大別すると二種類の写真が使われていることがわかりましたが、似ているようでどれも少し違うことがわかります。それぞれの新聞社のカメラマンが撮影しているからであることを話します。また、写りこんでいる人物の違いに言及した児童もいて、なぜ違う写真を使うのか?を一緒に考えました。兼務二校のうち一校の児童が、たった一紙だけ安倍首相が写っていることを見つけました。
 次に見出しの違いを指摘してくれました。見出しの字の大きさや使っている言葉で印象が違うことから、そこにも新聞社の考えが表れていることがわかります。

④まとめとして伝えたこと

 まず「新聞」と一口に言っても、同じ日の同じニュースを扱っているものでさえ内容が違い、一つの情報源だけではなく複数にあたることで見えてくるものがあるということです。これは子どもたち自身も考え発見したことでした。
 次に、発行されたばかりの新聞と過去に発行された新聞が、それぞれ資料として持っている価値について話をしました。すると、新しい新聞の速報性という価値はひょっとしたらインターネットのニュースにとってかわられるのではないか?という声も出ました。一方、過去の出来事をさかのぼって知るためのツールという考え方はやはり子どもたちには衝撃だったようです。公共図書館に行けば自分が生まれた日の新聞が読める!と伝えると、読んでみたい、何があったか知りたいと思った子がたくさんいました。
 最後に、もし何かの事件や災害が発生したのが、新聞が発行されている時代の出来事であれば、その新聞記事を探して調べることができるということ、さらにはデータベースのような検索に便利なものもある、という話をして終わりにしました。

(文責 飯田市立川路小学校司書 宮澤優子)



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