読書・情報リテラシー

「君たちの図書館をつくろう!」

2017-09-01 08:54 | by 村上 |


 
東京都国分寺市の小学校には、1995年から学校司書が配置されています。現在は月曜から金曜まで、一日5時間の勤務だそうです。専任の司書にとって、春はオリエンテーションの季節。試行錯誤を繰り返し、今や自信を持って定番のオリエンテーションを実施…という司書さんもいるでしょうが、小学校のようにどの学年も行っているという場合は高学年のオリエンテーションに、頭を悩ませるかもしれません。そんな時、国分寺市立第五小学校の司書 杉本ゆかりさんが今年度行ったオリエンテーションの話を伺い、そのアイデアにうなりました!そこで、お忙しい中執筆いただきました。来年の春に向け、ぜひみなさんも、参考にしてみてはいかがでしょう?これなら中学校でもできそうですよね。 (編集部)



「君たちの図書館をつくろう!」


    勤務校では毎年春一番の図書の授業で、全学年全クラスで学校図書館のオリエンテーションを実施しています。オリエンテーションには、子どもたちが楽しめる要素をとりいれながら、段階的に様々な内容を習得できるようにプランをたてています。今年度の6年生では「君たちの図書館をつくろう」をおこなうことにしました。
 まず、「どきどき図書館」「ブルブル図書館」「まったり図書館」「感動図書館」などの図書館名を記したプレートを準備し、グループごとに、無作為で一枚選んでもらいます。そして、グループで日本十進法の十分類の中から一冊ずつ本を選び、図書館名にぴったりの本ぞろえの自分たちの図書館をつくってみようという企画です。図書館の分類を復習すること、それぞれの類の中から普段きづかなかった本をみつけること、またグループで協力しあい、そして相互に本を紹介しあうというめあてのもとおこないます。


 
 プレートをひいたあと、意外な図書館の名に六年生は苦笑いをしながら、わいわいと本選びを始めました。さっさと分業して本を選んでくる班、全部の類をみんなで相談しながら選ぶ班、「まったり図書館」とはいったいどういう意味か?と疑問をもち、広辞苑をひいていた班もありました。持ち上がりで児童間のよりよい関係が築かれているクラスでは大変楽しんでいたようすが印象に残りました。

 
 ちなみに「やばい図書館」では、0類で「気をつけよう!ネット中毒」、2類で「吉野ケ里・首なし人骨のなぞ」などが並び、「なるほど!」と周囲の友達から注目を集めていました。
 全部で八つのユニークな図書館ができたあとは、それぞれの班が「うちの○○図書館では、こんな本があります。」と本を紹介しました。それぞれのグループのテーブルの上に、図書館名のプレートと本を並べて皆が選んだ本の中からも好きな本を選び、貸し出しをしてオリエンテーションを終了しました。


 オリエンテーションは児童への利用指導の機会であるとともに、小学生のうちに習得してもらいたい図書館や資料の使い方(メディアリテラシー)を児童がどの程度身につけているかを知る貴重な機会でもあるので、とても大切に考えています。現在は二学期中に行う予定の「六年生向け第二弾オリエンテーション”学校図書館ウルトラクイズ”」を計画中です。


(文責 国分寺市立第五小学校司書 杉本ゆかり)

次の記事 前の記事