bに対する零仮設の検定
Y=a+bXにおいて,
b=0であると,YはXで説明することができない。
b≠0ならば,YとXの間に直線関係があるといえる。
零仮設の検定は,b=0ではないということを証明するための方法である。
b⁻は,平均b 分散 σ2 /Sxxの正規分布に従いう。
b⁻を標準化(平均0 分散12 になるようにb⁻を変換する)と,b⁻ は,
(-b)/√(σ2 /Sxx)
になる。
この中のσ2 は,無限数プロットがあるときの (Σei2 /N)を表している。
しかし,実際のプロットの数は,それほど多くはない。そのため,σ2 は未知の値である。
そこで,σ2 を (Σei2 /N-2)=Veに置き換えたものを用いる。

図 正規分布

図 標準化

図 t分布
ここで零仮設の検定を行います。
直線Y=a+bXにおいてb=0であると仮定する。
(b⁻-b)/√(Ve/Sxx)= t0
b=0なので
(b⁻)/√(Ve/Sxx)= t0
このt0 がt分布の-tα~0~tαの中に入っているとき(t分布の値より小さいとき),b=0という仮説は成り立つといえる。この場合,Y=a+bXの傾きが0なので,YはXで説明することができない。
(b⁻ )/√(Ve/Sxx)=t0 がt分布表の値t( n-2,α)よりも大きいとき,この仮説は成り立たない。
b=0ではない(YとXの間に直線関係がある)ということができる。
|t0|≧t( n-2,α)
移項して
t(n-2,α)/ |t0|≦1
t0 =(b⁻ )/√(Ve/Sxx)に置き換えて
{ t ( n-2,α ) × √( Ve/Sxx)}/(b⁻ )≦1
ここで{ }の中は上で示したξのことなので,
ξ/≦1のとき,直線とみなすことができる。
ξ/b⁻は不確定度τと定義。 評価の座標のX軸は、このτの値によって決まる。
τの値が
0~0.2のとき 10点
0.2~0.4のとき 8点
0.4~0.6のとき 6点
0.6~0.8のとき 4点
0.8~1.0のとき 2点
の領域に割り振られる。
直線 Y=a+bXにおいて,原点を通るかどうか考える際,着目するのはaである。
これは過去のスモールスケール学生実験のデータから,99.0%信頼区間で計算したτ=1に対応するaの値を求め,切片が零とみなせる値の限界値にした。
τ=1に対応するaの値は 0.1686 である。
aの値が
0.0000~0.0337 のとき 10点
0.0337~0.0674 のとき 8点
0.0674~0.1012 のとき 6点
0.1012~0.1349 のとき 4点
0.1349~0.1686 のとき 2点
と点数化される。

評価の座標において,不確定度τと切片aの交点が実験の得点となる。