一次反応のkは温度によって変わるが、反応物質の濃度に依存しないので、反応を規定する定数として重要である。kから読み取れる情報を見てみよう。
鉄ミョウバンによる過酸化水素分解は、鉄イオンを触媒とする反応である。
2 H2O2––––→ 2 H2O + O2 (9)
Feイオン
触媒反応の速度は触媒量Sに依存するので、上式は次のように書き換えることができる。
– dC/dt=ks •S•C (10)
ここで、ksは単位触媒あたりの速度定数で、触媒反応系に固有な値をとる。ksにより金属イオンの触媒活性を比較できる。
触媒反応の速度を原子・分子のレベルで理解するために、金属イオン一個あたりの単位時間(秒,s) に反応する分子の数、すなわちTurnover Frequency (TOF)を求めてみよう。反応初期のTOF (molecule ion–1s–1)は次式で与えられる。
TOF = (k•C0•V0) / ( 60 •CFe•VFe) (11)
ただし、k:速度定数 (min–1)、C0: 過酸化水素の初濃度 (mol L –1 )、V0 : 反応液の体積 (mL)、CFe : 鉄ミョウバンの濃度 (mol L–1 )、VFe:鉄ミョウバンの体積 (mL)とする。
通常、触媒活性を評価するためには単位濃度あたりのTOFが用いられる。
実際に温度が高いときと低いときで,分子の動きがどのように違うか見てみよう !