新学習指導要領が、小・中学校では2002年度から、高等学校では2003年度から全面実施される。そこでは、小学校での選択学習が一部教科で導入され、中・高等学校では選択教科・科目枠が拡大され、さらに「総合的な学習の時間」が小・中・高等学校のすべてで設置されることとなっている。「総合的な学習の時間」特設枠は、各学校教育の教育課程全体に占める割合は大きく、かつ新領域にも匹敵するほどではあるが、それが「領域」としてではなく、「時間」として設置されているところに今改訂の特質の一端が示されている。そしてそのことは、「過渡的性格」をもった教育課程の改訂ともいわれていることと無関係ではないだろう。その点からも、「総合的な学習の時間」の実施状況に着目することは重要なことと考える。
本センターは、全国共同利用施設として設置されたという経緯から、学校教育におけるカリキュラム開発に関する調査・研究・教育・事業を全国レベルで積極的に行うとともに、情報の提供、発信が期待されている。このような期待に応えるべく、本センターの第1部門(カリキュラム構造研究開発部門)が、総合的学習に関わる実践研究情報の収集と整備、調査研究をおこない、本資料としてまとめた。
本資料は、学校教育現場で参考になるように「総合的な学習の時間」に関するカリキュラム開発にあたっての、テーマ設定の視点とカリキュラムの構成要素、単元の概要についてまとめた、ごく簡略なものである。これは、研究開発学校での2年次研究の成果をもとに作成されていることから、各研究開発学校での最終段階の実践的研究を充分反映できていないし、分量的にも不十分なものではある。しかし、「総合的な学習の時間」が全面実施されようとしている今、カリキュラム開発の視点やカリキュラム編成要素、実施形態や実践展開の、過渡的ではあれ多様な姿に接することは、これからの実践展開や今後のカリキュラム開発に何らかの参考にしていただけるのではないだろうか(研究開発学校制度については、文部科学省のホームページhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenkyu/、「『総合的な学習の時間』応援団のページ」については、http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/index.htmlも参照のこと)。
なお、本資料に加えて、各研究開発学校での年間授業時数や単元例、学習・活動内容事例を若干補充した報告書『研究開発学校における「総合的な学習の時間」のカリキュラム開発』を作成している。ご希望の方は本センターにお申し込みください。
本冊子は、各研究開発学校の資料提供に対するご理解と協力と、研究推進員の協力によっており、ここで改めて感謝の念を記しておきたい。
データベース
研究開発学校の一覧です。
●小学校
●中学校
●高等学校